リスクとどう向き合うか - 金融リスク最前線 - 3/5

2008/01/31 07:00
昨日からの続き。

- ウォール・ストリートの証券会社は、住宅ローン会社に日参していた -

小椋: ところで、スーさんはサブ・プライムローン問題を予測していた?

スーさん: うーん、予測といっても来ることがはっきりわかっていたわけじゃないけれど、おぼろげになんとなくヤバイんじゃないかとは思っていた。

小椋: それはどういう理由で?

スーさん: 私はロスで働いていたから、ウォール・ストリート(金融会社が集まるNY)のことは人づてに聞くばっかりだったけれど、ゴールドマン・サックスやメリルなんかの証券会社が住宅ローン会社に日参していたらしく。

小椋: 日参していたんだ。

スーさん: 当時も今もそうだけれど、アメリカは証券化が国技のような国でしょ。何でも証券化する。大手証券会社がサブ・プライムローン債権を集めて、格付けごとに輪切りにして、それを証券化してヘッジ・ファンドなんかに売っていた。

小椋: やっぱりヘッジ・ファンドが買い手だったんだ。

スーさん: 証券会社はサブ・プライムローンをパッケージにすれば、売れるわけよ。ヘッジファンドに。しかも住宅ローン会社にとってもメリットがあるわけ。証券会社に売ったら、自分たちは貸し倒れのリスクを負わなくてもいいってことになるから。

小椋: あ、そっか。そこで貸し倒れリスクの移転が起こるんだ。住宅ローン会社から証券会社に。

スーさん: さらにその証券会社はヘッジ・ファンドなんかを通じて個人投資家に販売するから…

小椋: 結局個人投資家がいつの間にか貸し倒れリスクを負担してしまっていることになるんだ。

スーさん: そういうこと。

小椋: 住宅ローン会社にとって、最大のお客さんは住宅ローンする人じゃなくて証券会社だったんだ。

スーさん: まぁ、そうとも言えるけれどでも住宅ローン会社も顧客への誠意を見せるために「一番貸し倒れリスクがありそうな債権」だけは証券会社には売らなかったらしいよ。

小椋: それさえ売ってしまったら「この住宅ローン会社、大丈夫かな」ってことになるね。

スーさん: 住宅ローン会社なのに、住宅ローン債権を全然持ってないなんておかしいからね。いちおう顧客へのブラフとして「一番貸し倒れリスクのある債権はわが社で保有しています。この方たちが貸し倒れてもわが社は大丈夫だ、という証拠です」という格好だけはつけなきゃいけなかったみたい。

小椋: 結局は倒産してしまった会社もあるけどね。

スーさん: 今回、この問題をちゃんとわかっていたのはHSBCとゴールドマンだけみたいね。

小椋: やっぱゴールドマンってすごいの?

スーさん: アメリカの証券会社はベスト&ブライテスト(ものすごく優秀な人たち)が集まるからどの証券会社もそんな差はないんじゃないかな。たまたま今回はゴールドマンがラッキーだっただけだと思うよ。UBSやメリルがジョーカーをひいてしまって。



続く