香港経済 強さの理由

2008/01/10 07:00
長く財政問題にあえいでいる日本に生まれた私にとって、国にとっての財政赤字問題は「中華料理レストランにとってのまずいチャーハンみたいな存在である。そのこころは「いただけないが、ある組織にとっては切っても切れないもの」である。

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↑大幅な財政黒字を発表する香港財務省長官チャン。出典:The standard


しかし、おいしいチャーハンを出す中華料理屋さんも存在することもまた事実である。

香港は2007年度の税収が予想を250億香港ドル上回ったという発表がなされた。香港の国家財政は極めて健全で、この10年で単年度財政赤字はSARSがあった2003年の1度しかない。

したがって、国債を発行する必要もなく香港で買える国債は空港建設や橋建設など事業国債である。しかもその事業国債も市民サービスの一環としてやっているフシがあるからすごい。

この財政黒字をうけて、昨年から検討されている所得税率・法人税率が1%下げられる見込みである。ただでさえ税率が非常に低い香港であるが(所得税17.5%、法人税16.5%)、さらに低くなるのである。しかもこの1%の下げ幅に対し、「下げ幅が足りない」と国会議員達が大合唱をしている。

中国景気が後押ししていることは確かだが、なぜ香港はこんなに競争力があるのか?と問われればやはり

「香港は投資家主権国家である」

点に尽きる。もちろん、香港の主権は民衆にある。しかし、香港は投資家のカネで潤っている街である。金融機関が日夜シノギを削り、投資家を儲けさせ、そのサヤを抜いた金融機関が政府に税金を払う。

その税金が福祉を求める香港居民に行き渡るのである。極端に低い税率も、そうやって世界の投資家を惹きつけ、金融機関が儲けたカネを税金として香港政府に落とさせるためである。

投資家が香港に一票を入れてくれなければ、香港は単なる貿易中継地点となってしまう… そういう点を香港人は実によく理解している。なので、ここ香港では政治を支配しているのは香港人ではなく投資家であるといっても過言ではない。

日本人も、本当にモノ作り国家にしたいのであれば職人芸を持った人たちに2票以上を与えるべきである。そうしたら少なくとも国会議員は全員2票持った職人たちの意向を聞くであろうから、モノ作り国家への脱皮は一瞬で出来るはずだ… というのはさすがに暴論か。