両刀使い

2010/08/26 23:44


「ヘリコプター・ベン」

の名の通り、上空から紙幣をばらまくことで景気浮揚をするのがベン・バーナンキ流である。政策金利を0-0.25%に据え置いた上、1兆4000億ドル分の不動産担保資産を買取、3000億ドル分の米国債を中央銀行が買い取っても、なおアメリカの景気がよろしくない。

失業率は改善せず、物価はやや上昇(なのでデフレは今のところ心配しなくても良い)、かつての日本のようにデフレ傾向はまだ見られないものの、家計と企業がカネを使い始めるのを早期に期待するのは難しいようである。

ヘリコプター・ベンは、いつでも紙幣を印刷しバラまける心の準備はしているだろう(そんなことは公表していないが)。バーナンキの関心は、いつバラまくのかということだけにあるわけではない。連銀の膨大な資産ポートフォリオ、不動産担保証券や米国債をどのように運用していくかにも心を砕いているようである。

日本では到底考えられないことだが、中国のソブリン・ファンドがかなりの運用額をヘッジファンドに回している。ニコラス・タレブが書いた「ブラック・スワン」という本があるが、彼の投資手法は資産の90%を超安全な資産、たとえば米国債の短期のもので運用し、残りを相場が大きく傾いたときに大きな利益を得られるオプション取引にかける、というものだ。

実際にそういうファンドもチラホラ聞かれるようになり、トレンド・フォロー型とかディストレス型とかいうヘッジファンドの分類に当てはまらないので「ブラック・スワン型」と呼ばれる。中国はそういうヘッジファンドに投資をするようになり、「モーゲージ証券から派生する利益を、米国債に再投資するべきか、ヘッジファンドなどで運用するべきか」で議題となっている。

アドバイザーからすると、一方でバラまきながら市場のボラティリティを高めておいて、それで収益を得るなんて本当にズルいと思うのですよ。私たちはボラティリティに対してオプションなどデリバティブでカバーできる手段をほとんど持たない。唯一対抗できることといえば、そういった市場に積立投資をするか、注意深くレンジを見極めてトレードするかのどちらかで。だから連銀は「黙って米国債買い」すべき。