輸出企業は、値上げすることをまず考えるべきだ

2010/08/25 20:46

過去3ヶ月の円ドル推移


円高で何が問題かというと、国内の資産が国外に流出してしまうことにあると思うのです。我が国のように輸出依存型国家の場合、円高で家計部門は直接的にはそのコストを支払わないので、企業部門が円高の負担を被ります。

企業部門は円高のコストを国内の留保金取崩しとコストカットで対応しますから、一時的には企業部門が負担してもそのツケというのは必ず家計部門にまわってきます。

一方買っている方はというと、値上げしない限りかつての価格と一緒なわけです。そして所得がインフレ率を上回っていれば実質的に安く買えてしまうのです。

為替によって国家間の資産の付け替えが行われているわけですが、輸出企業がキチンと値上げをしない限り日本がやせ細るまで資産移動が続くのです。

「値上げなんかしたら国際競争力が云々かんぬん」と言われるでしょうが、値上げした途端買ってもらえない商品であればそれはおそらく中国あたりで生産されているモノでしょうから、技術力の飛躍をみるにつけ早晩需要がなくなります。

香港や中国を観察すればよく分かるのですが、彼らの日本のプロダクツに対する信頼は絶大です。値上げは大変な判断ですが、ここで値上げして需要が減少するプロダクトと値上げしても需要がまだまだあるプロダクトを選別していかないと、コストカットと政府介入を叫んでいるだけでは問題が先送りされるだけです。

仮に1ドル70円で利益が出るビジネスモデルを組んだとして、生き残れる企業が日本の価値の多くを代弁するのだと思います。生き残った技術やプロダクトにさらに資金と人を投入していくことで、日本の技術とクリエイティブが最大限発揮されると思うのです。

円高株安となると、すぐに介入を政府に頼ってしまってそれが出来なければ「無能な政府」とバカにするのはいかがなものか。為替介入は国民の権利ではありません。国民には必要最低限の生活が保証されているだけです。逆に言えば、政府はそこまでしかしなくてもOKなのです。

円高が怖ければ、「円ドル相場によって値上げします」と契約書に書いてもいいし、海外に飛び出してもいいし、自社のもつ先端技術をより磨いて新たな販路を見出してもいいわけです。アイデアはいくつも浮かんでくるでしょう。

資産の付け替えをせずとも、値上げや他の方策によって日本企業は十分に生き残っていけます。政府に頼らなくとも、自分で決めて行動できることってあると思うのです(自分がコントロールできないことを待っていても精神衛生上よろしくありません)。