中国、人民元建債券への還流を認める
2010/08/18 13:29

「通貨の価値はどうやって決まるんですか?」
とお客さんに聞かれる時がある。しかし、答えられない。もし明瞭に答えることができたら僕は今頃FX投資で億万長者になっていたはずだ。通貨の価値は国力だとか、購買力平価だとかいろいろ言われているがどれも本当だと思う。通貨価値を見極めるのは、ピースの形が刻一刻と変化していく巨大な3Dパズルを完成させるようなものである。要するに、正しく知るのは不可能だ。
通貨価値を決める諸説のうち、意外と見落とされがちなのが通貨の基軸性である。米ドルが円以外の通貨に対していまだなお強いのは基軸性があるからだ。
基軸であるということは、記事通貨を使って商売が成り立つということだ。今日明日の商売の取引をドルで長年やっていればドル以外の通貨を、たとえばユーロなんかを使おうと思わない。自分だけが勝手に使っても、周囲の取引先が認めてくれないからだ。
日々取引を繰り返すごとに商売がドルになじんでいく。アメリカの覇権はこの基軸性によっても支えられている。だから、中国もそこに目を付けている。
中国元を人口に膾炙させるために手っ取り早いのは為替相場をオープンにすることだが、自国の外貨準備高の増長と輸出業の更なる発展に熱心な中国がそんなことをする訳がない。
しかし中国元に触れる機会が、コントローラブルな範囲で欲しい…
というわけで、中国元建の国債・社債の海外流注が試験的に認められることになった。中国元建てで商売をして中国国内に元として持って帰ろうと思っても外為規制から国外通貨を元にするには限界がある。
しかし、人民元建ての債券なら人民元としての国内に持ってこれる、という制度である。この制度は地味ではあるが中国ビジネスをしている人達には朗報だ。債券なので流動性はある程度制限されるが、それでもずっと米ドル建てで中国で商売してきた人間にはメリットがある。
中国での商売に人民元がなじんできたら、それは小さな覇権のスタートだ。中国の覇権に対する意欲の一端を垣間見るようであるが、日本はなぜ高度成長のの時にアジアの基軸通貨として、たとえば円ペッグ制をアジア諸国に広めなかったのかと思うと残念でならない。

