戦略的停滞か、惰性的停滞か
2010/08/09 23:42

日本企業のキャッシュ比率、対GDP比
日本の企業評価についてのポジティブな記事がここにきてまた増えている。2年前、リーマンショック前にも多大なるキャッシュを設備投資やアブない構造の証券投資にまわさずに温存していたことが評価されていた。
1987年のバブル崩壊以来、日本の企業は日本の金融企業を信用しなくなっている。拓銀や山一の破産、銀行の預金準備率引き上げにともなう貸しはがしや貸し渋り… この20年を耐え忍んだ企業は辛酸を嘗めてきているはずだ。
羹に懲りて膾を吹いているわけではないが、設備投資もせず、すなわち事業拡大もせずにキャッシュを蓄えてきた。派遣切りやホームレス村など社会問題は企業のキャッシュの潤沢さにその遠因があるのかもしれない。
だからといって、キャッシュを吐き出せと村上ファンドのようなことは言えない。世界的に見て日本企業のキャッシュ温存比率は高いものがあるが、そのキャッシュがあったからこそこの金融危機から自社を守れたのである。
しかも日本の平均的な企業はアメリカのCEOみたいに、バカ高い給料は取らない。企業は永続してこそ社会に貢献するとすれば、日本のような会社はもっと評価されるべきだ。少なくとも私は世界で一番評価している。
意地悪な向きも当然あって、キャッシュを持ったままなのは「クリエイティブじゃない」とか「思考停止状態なだけだ」とかいう批判もある。企業の経営者としては外で自由に使っていいカネが出てくれば当然使うのだが…
そういったリスクをとれるカネが回っていないのは事実で、日本ではまだまだリスクマネーが循環する仕組みが整備されていない。キラリと光る技術やサービスが、リスクマネーが供給されないせいでどんどん死んでいく… 日本の資産が失われているのに、アドバイザーという立場から何が出来るのだろうといつも考える。

