人民元高「演出」、本当の勝者は
2010/06/21 23:40
人民元 対米ドルレート
中国が、「より柔軟な人民元相場を」と先週末発表し、世界中の相場が少しだけ沸いた。しかしフタを開けると大幅な上昇ではなく3%の小幅上昇だ。
しかし、人民元が上がったところで外国にはそれほどメリットがあるわけではない。人民元の切り上げは中国での経費上昇につながる。工賃上昇、水道電気ガス代上昇、地代上昇。
コストが上昇すると、今のような消費サイクルを維持することが果たして出来るのか。3ヶ月ごとにニュー・モデルを投入するスポーツシューズメーカーとか、わずか2週間でデザインからエンドユーザーへ小売してしまうアパレルとか。
中国が引っ張った信用不安状態からの脱出が可能になったのは、人民元安が意図的に放置されてきたからでもある。元安のせいで中国国内の輸出企業はうるおったのだが、積み上がった外貨準備を欧米諸国に吐き出したりしているから一方的に中国がボロ儲けしているとも思えない。
こういったマクロ事情はついつい国際収支の枠組みで考えてしまうのだが、個別のビジネスでは、実は中国農業銀行のIPOが迫っている。人民元を切り上げるぞ(と言いつつ切り上げない)態度は、この中国農業銀行のIPOを成功させるためにあるのではないか、と勘ぐってしまう。
中国は、上層レベルでは普通にインサイダー取引まがいのことが行われている。中国農業銀行を仕切る人間が、「人民元の切り上げを演出してくれ」と人民銀行の誰かに頼んで実際にそれが実行されても何の不思議もない。


