香港金融譚

主に世界の金融や経済情報についてのブログです。
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2010/07/11 23:34


インターネットに氾濫する情報はいつも制約を嫌がる。インターネットを介してやりとりできる情報はタダであろうとするし、自由に世界中を飛び回ろうとする。

これほど情報が躍動的に世界中を動くのは歴史上なかったことである。いちおう基本的人権である「知る権利」を確保された世界に生きる私たちはその恩恵にどっぷり浸かり過ぎ、知る権利の延長上にインターネット上のデータがあることを忘れがちだ。

だから中国でYouTubeにアクセス出来なかったりBloombergの記事を閲覧出来なかったりすることで束の間「知る権利」を思い出したりする。

次の瞬間、僕らの興味は国家権力と戦うインターネット上のデータだ。データそのものには意思はないが、前述のとおりインターネット上のデータはまるで意思を持つかのように自由になりたがる。

中国はドメインレベルでアクセスブロックをしているのでその意志を打ち砕く。データは政治力を持たないのでアクセスブロックされたら一溜りもないが、グーグルなどの政治力の力を得て再び国家権力と対峙する。

この駆け引きの行方が気になるのだが、唯我独尊の中国でも政治力を持ったデータにじりじりと後退しつつあるような感じだ。

中国はグーグルのICP(インターネット・コンテンツ・プロバイダー)ライセンスを更新した。昨年からグーグルと中国は人権派団体のメールのパスワードを盗んだ、盗んでないという話でグーグルは一時中国から撤退をした。

ICPライセンスの更新をするかどうか、中国の対応が注目されたが結局ライセンスは更新された。中国はグーグルの力、その背後にある米国の力を意識したというよりはデータを牛耳るにはデータを飲み込まなければならないという意思があるように思えた。毒をもって毒を制す。

中国がインターネット上のデータをすべて公開可能にするのは当分先だろう。もしかしたら未来永劫ないかもしれない。

政治的言論の自由については絶対に保証されるべきだがくだらない情報をシャットアウトしたからといって失うものはない。

知る権利を極限まで享受している私たちがそもそもそんな権利がなかった100年前と比べて幾ばくか上等な人間になったかと言われれば答はNOだからだ。
2010/07/10 23:51
水曜日から上海に行っておりました。今回のミッションは、現在お受けしております年商300億円規模の会社様の中国進出を財務面からサポートすることと、労務相談。

中国は毎年1度ではなく毎月1度税を納めることから、B/SとP/Lが否が応でも明らかになってきます。そして労務相談。税金やら社会保険やら加味すると手取りの1.6倍チョイの人件費ですから、日本よりも高いという実感ですね。

上海は少子高齢化が進んでおり、老人ホームなど福祉を充実させるためにこの10年は増税につぐ増税だとか。上海万博もあり若い街かと思いきやそうではないのですね。

それにしても、今回の上海はふるびた建物を瀟洒に改造したものをよく目にしました。北京と違って上海は建物までおしゃれ。

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2010/07/09 11:28
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インドで生産中の日産ルノー「ミクラ」


それでも、新車需要は昨年比で12-13%ペースである。昨年は153万台がインド国内で販売されたという。日本国内では2009年は200万台が販売されているので、もうすぐ追いつきそうな勢いだ。

しかし、ゴムの価格やプラスチックの価格が徐々に上昇していることから、国内の部品メーカーなど下請けはこの需要にきちんと答えることが出来ていないという。

またインド国内ではインフレが二桁で進行しており、インフレも国内需要を押し下げる原因となる。ただこれらすべての事情を勘案しても、2016年には300万台に到達するだろうというのが市場関係者のコンセンサスだ。
2010/07/08 23:31
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EUコミッショナーのMichel Barnier。「もう銀行は今後のようにはいかない」


銀行のボーナスについて、世界で一番厳しい基準を取り入れたEU。香港の金融業界では昨年まで「民間の報酬を規制するなんて出来っこない」と言われていたが。

出来っこない、の理由はひとつ。民間の会社である銀行に対し公共部門がボーナスがいくらかなんて知った事ではないだろうというある種のわがままである。

公的資金を受け入れている時点で銀行は民間企業の性質を失うわけだが、金融機関の人間というのはこの点を聞きたくないらしい。

新しく導入されるルールでは、バンカー(CEOや重要幹部)のボーナスの40%-60%は将来3年間にわたってクローバック対象となる。すなわちパフォーマンスが悪ければ「返さなければいけないカネ」ということになる。

報酬規制の趣旨は過剰なリスクテイクを避けることにあるが果たしてこの規制は有効だろうか。バンカーは極限まで拡大志向であり四半期ごとに厳しく結果が問われているだけに、クローバックを恐れて経営をしていればCEOをクビになってしまうという(バンカーにとっては)本末転倒な事態を招きはしないか。

また報酬体系を見なおしてクローバック部分が20%の確率であると仮定し20%分余計にボーナスを支払うことにもなりうる。

預金準備比率や市場のルールを変えないとリスクテイク的態度は変わらない。というか変えられない。報酬制限を強制的にしてみても、リーマン・ショックはまた必ず起こる。
2010/07/08 23:12
91銀行、EU圏の資産規模の65%を占める銀行でのストレステストが行われるという

ストレステストは金融機関の「潰れなさ」を測定するために用いられるもので、様々な金融危機が(今回の信用危機など)が再び起きたと仮定しその結果を見る。

アメリカでは2009年の4月に行われている。しかしアメリカで行われたストレステストは相当「下駄」を履かせてもらったと批判する向きも多い。

すなわちストレステストで悪い結果が出た場合、信用状況を再び傷つける恐れがあるのでそもそも悪い結果が出ないように細工して「結果、安全でした」と報告するわけだ。

ユーロではギリシャを端に発したソブリン・リスクがようやく沈静化しているところでこのストレステストで悪い結果を出しユーロ圏を再び奈落の底に落とすわけがない。

すなわちユーロ圏を再び魅力あるものに見せようとするためのストレステストである。

7月23日にストレステストの結果が発表されるという。昨年アメリカで行われたものと異なり、市場は冷めて見ているようだ。どんな良好な結果が発表されても、強材料には成り得ないだろう。
2010/07/06 23:01
日本の国債の格付け見通しが「ネガティブ」と年明けには報道されていた。日本は法人に日本国債を買わせ、法人では買えなくなったから個人に日本国債を買わせていた。

日本破綻論を煽る書物が書店に大量に並びながら、個人向け国債が飛ぶように売れていたのが不思議な光景であった。

しかし、「中国が外貨準備資産の多様化のため日本国債を購入」というニュースが流れた。

中国が日本国債を持っていることは理屈として当然知っているものの、2480億円分の国債を買ったというニュースが改めて流れると日本が中国に対して日本国債を買ってください、とお願いしにいく日も遠くないのかな、と思う。

(とはいっても200兆円もある外貨準備の2480億円なのでごくごく一部に過ぎない)
2010/07/05 23:36
株式と、不動産に流れたと中国国家外貨管理局は伝えている。


過去1年の上海総合指数。

「そんなことはとっくに分かりきってますよ」

というリアクションがほとんどだろ。それが工場の設備投資になったり、バイオ研究の費用になったり、奨学金になったりはしていないことは不動産価格と株価を見ていれば分かる。

ホットマネーが流れる原因は、ひとえに元高メリットを享受するためだ。早く株を買え、早く不動産を買え、そしたら為替でも儲かるぞーと。

しかしこのところ中国株も不動産も一段落している。外貨管理局が「早急な元高は望まない」と発表し、一部投資家の元高幻想を打ち砕いたからだ。

6月19日に「人民元の相場システムを緩和する」として事実上の人民元高を容認する発言をしたがそれ以降元はやはり厳格なコントロール化におかれている。

すなわち、このペースでしか今後の元高はありえない、ということになる。10%も20%もかつての円ドルのように急に切り上がることはないのだ。
2010/07/04 23:39
中国の方たちと打ち合わせをする機会は香港ではほとんどない。いや、中国国内ですらもない。中国人とビジネスを進めるためには会議室ではなく飲み屋に行かねばならない。

飲み屋でボソッと言い交わしたことは「酒の席だから」という言い訳が通用しない。むしろ「酒の席だからこそ」である。

飲み屋にいけばタバコをモクモクと吸う。私はタバコを吸わないので密室でのあのモクモクが気持ち悪く、しばらく副流煙を吸っていると頭痛がし、一時「中国で仕事をするのは無理だな」と思ったことがあった。

ちなみに香港人でタバコを吸う人はマイノリティである。香港人はやたらと健康を気にし、タバコを吸うなぞ言語道断という女性も多い。

タバコを吸う中国人が香港にやってきたとき、どのように対応するかには苦慮する。室内では禁煙なので、室外に行くしかない。室外は当然クーラーが効いてないので暑いのだが、彼らの「タバコ吸いたい」という欲求は並々ならぬものがある。

そしてタバコを吸わない私には理解不能なのだが、タバコを吸わないとイライラするらしい。イライラして仕事が早く進めばいいが経験上イライラは判断を鈍らせさらに仕事を増やす。

なのでタバコを吸ってもらわないといい仕事ができないということになる…

ワンチャイにあるレストラン・バー「THE PAWN」は中国人と打ち合わせするのにぴったり。タバコをモクモクと吸ってもテラスであれば文句言われない。


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2010/07/03 23:00
香港最大財閥のリーカーセン系ポータルサイト会社のトム・ドットコムの社長の弟が王ティティ(漢字不明)に新しいビジネスをプレゼンしに行くことになった。

フォレストラインという会社の財務担当を初めて1年くらいになるが、今までの財務担当の仕事とは違って経営と営業に深く関わるシーンが多い。

経営資源をいかに効率的に増やしていくかということは財務担当ならずともフォレストライン遠藤社長との共通のタスクであるが、結局資源を使ってどれくらい稼ぐかというよりもそのプロジェクトを「やりたいか、やりたくないか」で決めている。

たとえば、ISPライセンスの件。フォレストラインは空中網というISP会社も中国で有している。黎明期にISPライセンスを30万人民元で取得したのだが、現在中国でこのライセンスを取得するのは不可能に近い。

しかしインターネットビジネスをするにあたってこのライセンスは非常に強力な武器となる。とある日本のインターネット最大手がこの会社をライセンス付で40億円で売ってくれないかと持ちかけてきたくらいだ。

リターンだけで考えれば400万円強で仕入れたモノを40億円で売却出来るなら非常に高いリターンが得られる。しかし私たちは売却はしなかった。

このISPライセンスを使って40億円以上稼ぐビジネスを中国で作ってやろうじゃないか、と息巻いたわけだ。

中国の法律も改正され、コンテンツにおけるISP業者と携帯各キャリアの立ち位置が同じになったこともあって日本のコンテンツを中国に引っ張ってくるには弊社は最適な位置にいることになった。

そこで、トム・ドットコムに新しいコンテンツ・ビジネスの形を提案しくことになったのだが…

「マカオ名物のエッグ・タルトを今どうしても食べたい」

という抑えがたい欲求のため王ティティがいる広州までマカオ経由で行くことになった。ちなみに香港からだと広州までは特急列車で1時間。マカオ経由だと船とバスを乗り継いで4時間かかる。

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おそらくこの記事はクーラーの効いた室内で読まれていることだろう。しかしこの日のマカオは35度湿度85%と不快指数120くらいだった。

汗だくになるのはまだしも、セナド広場をうろうろしているだけで頭がクラクラとし、飲んでもないのに千鳥足。

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アスファルトから照り返す熱にやられ、気分が悪く。室内は異常にクーラーが効いているので内外の寒暖差で自律神経失調気味となりさらに吐き気を催し…

結局、王ティティに会わずに遠藤社長に介抱されるように広州手前から香港に退却。あぁ情けない。週末にわざわざページを開いてくださった方、申し訳ございません。
2010/07/02 23:22
失業率が改善されたことで、マーケットにプラスのインパクトを与えて始まった金曜のNY市場。しかし、ここには統計のマジックがあり、9.5%という実際の失業率は実感とは大きく異なるという。

まず、失業率の中には仕事を探すのを諦めた人は含まれていない。また希望通りフルタイムで働けず、嫌々パートタイムで働く人達は失業者とは言わないからカウントされない。

そしてアメリカ労働局のデータによると、25歳から65歳までのいわゆる就労世代の男性は7900万人いるが、この「諦めた人」「パートタイムの人」も失業者とカウントすると失業率は22%にもなる。

1950年代にはこの数字は10%未満だったから、現在の22%という数字がいかに高いかが分かる。

すなわち、公称の失業率が少し下がったからといって景気が上向きになったと勘違いするのは早計だということだ。もしかすると、単に仕事探しを諦めた人が多くなったかパートで働く人が多くなったに過ぎない場合もあるからだ。

この22%という数字を見ているとアメリカが今後世界の消費を牽引するとは到底思えない。
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