香港金融譚
主に世界の金融や経済情報についてのブログです。
2010/08/04 23:40
香港に旅行に来られる方が驚くことの一つに、この「竹足場」がある。竹足場は、その名の通り竹で作った建築現場の足場のことである。日本では金属の足場が使用されており、竹の足場を日本では見たことがない。
その竹足場は時に80階建ての建造物を建設するときにも利用される。建築中の巨大マンションが竹で囲まれているのを見るのは圧巻であるが「竹で足場を組んで大丈夫なのか?」という疑問がまず想起される。
しかし、大丈夫なのだ。
徒弟制度で地上何百メートルにもなる竹の組み方を教えてるのかと思いきや、竹の組み方を教える特別施設が香港内にあるのだ。竹の組み方だけを教える施設というよりは、大工を養成する学校のようなもの。
そこで竹の組み方を若い大工見習いに教えるんですね。
「竹の組み方は難しいよ。一瞬の判断が求められるからね。朝組んだものを昼には組み換えをしなければいけないこともある」
大工学校の教官はいう。
この「朝組んだものを昼には変えてしまう」というのが実に香港人らしい発言で苦笑してしまった。
香港人とビジネスをする際、いつも衝突するのが「トラブルにどう対処するか」という点だ。日本人的な思考である私は「たとえば、こんなトラブルが発生することが考えられるがそれについてはどう考えるか」みたいな質問をすると、出来るビジネスマンほど「それは、トラブルが起こってから解決すればいいのではないか」と答えるのだ。
「いや、起こってからでは遅いから今のうちに穴を潰しておくべきだろう」と言っても「そんな可能性の問題ばかり取り上げていたら前に進まないじゃないか」と一蹴される。
とにかく一歩でも前に進んで、その時々で問題に対処していくのが香港スタイルなのだ。石橋を叩いて渡ることはせず、石橋が割れたら泳いで対岸まで行けばいいじゃないか、という考え方なのだ。
危なっかしい想いはするものの、方法の切り替えはいつも鮮やかなのでその度に感心させられる。そして方法を切り替えていっていつのまにか目的地に着いていたりするから見事なもんだ。
ちなみに、この大工学校の生徒も減少傾向にあり、この竹足場の組み方のコツを覚える若い人達が減ってきているという。国が豊かになってキツイ労働が敬遠されているせいだろうか。
2010/08/03 23:49
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国債金利の低下を見ていると、投資家のリスク性向がいかに低調かがよくわかる。今年の株価最高値まで、香港ハンセン指数はあと5%程度の上昇で戻りそうだが、日経平均の上値は重く、パーに戻すまであと10%頑張る必要がある。
円高ドル安が放置されており、以前の榊原英資のように日銀のビックリ発言などで為替に介入すべきではないか、とも思うのだがヘッジファンドマネージャW氏に言わせると「そんな小手先のテクニックでこの流れは変えられない」とのこと。
この流れとはドル安である。円高ではない。消去法的に円が買われている状況は日本の技術や輸出力を反映したものではなく相対的に日本が米国よりもマシなだけである。
今後、任天堂に代表されるように輸出が徹底的にもっともっと傷ついて日経平均が下がらないと90円台の回復すら難しいのかもしれない。GDPの下方修正、失業率の高止まり、アフガンでのプレゼンスの欠如、オバマ大統領支持率の低迷。次にアメリカが息を吹き返すのはどんなタイミングだろうか…
2010/08/02 23:48
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マン・インベストメンツの旗艦ファンドであるMan AHL Diversified Futures。このファンドだけで結構なリターンを得た人は私の周りにもけっこう多い。しかし2008年金融危機時には24.9%という素晴らしいリターンを出して終えた後、しばらくジリジリと降下を続けた。
今年に入ってから、「もうAHLはダメなのでしょうか」という悲鳴にも似た問い合わせをかなりの数受けた。その度に「こういったトレンド/フォロー型投資の弱点は政府の介入が多くなればなるほど負けやすいので、今は厳しいかもしれないがいずれ持ち直す。だから売らないように」とお答えしている。
日本人のお客様は特にリスク、もっというとボラティリティに慣れてないことが多いので、半年下降が続くと「もうダメだ」というふうになりやすい。これが香港人や欧米人であれば我慢できるのだから、そこで損切りして「ダメなファンド」にしてしまうのはマインドの問題ともいえる。
2009年の3月から世界株式は急激に上昇したのに、AHLはジリ貧を続けているじゃないかという批判もある。だけれども、どこで底かを見極めて投資が出来ないからこその分散であり、ヘッジファンドの組み入れなのだ。
この半年間で見ると世界株式指数(MSCI World)が8.0%下げているところにAHLは3.5%プラスなのは頼もしい限りだ。AHLは負けがこんでくるとリスク許容レベルをどんどん落としてくる。
勝ち続けるということが考えにくいように、負け続けるということも考えにくい。もっと言うと、この1年間負けてくれたことで逆にAHLの投資戦略がブレてなかったことが証明される形にもなった。
すなわち、ここで純粋にトレンドフォロー戦略ではなくマクロ戦略やイベントドリブン戦略を取り入れていたら勝てていたのかもしれないが、日和見的に戦略をコロコロ変えるのは常勝ならぬ常負の定石だ。
積立投資をしている人も、一括投資をしている人も、AHLは持っておきたい。
2010/08/01 23:04

金融で働いている人達は、とかくニュース中毒になりがち。かく言う私も、インターネットからのニュースフィードやメールレターなどで3日で新規メールが1000件を突破することもしばしば。
当然全部は読んでおらず、読んだとしても斜め読み、読む前から削除するものもあり、果たしてどれだけ実効的に投資判断につながっているのか不明なところはあります。
しかし読んでなければ不安な気持ちでいっぱいになるので、やはりフィードやメールは私たちの業界には大変ありがたいツール。
iPhoneなどスマートフォンの登場で、そのニュース中毒がさらに激化。特にiPhoneかブラックベリーは持っていないことがあたかも犯罪かのように皆持っているのです。
スマートフォンはアプリと呼ばれるソフトを携帯の中にインストールすることができます。
Bloombergのアプリなどは操作性も素晴らしくよく、刻一刻と変化する金融市場を遅滞なく断片化してくれ、ニュース中毒も行きつくところまで行き、電車バスの待ち時間は言うに及ばず、エレベーターホールでエレベーターを待っているとき、バス停から会社までの2分間の距離、パソコンを起動するわずかの時間にBloombergのニュースを見てたりすると「いっそスマートフォンがない国に行きたい」とたまに思うのですね。
UAEがブラックベリーを全国的に禁止したというニュースを見たとき、「意外とこれでホッとしている人達は多いのでは」なんて思いました。
ブラックベリーはカナダの会社、リサーチ・イン・モーションが創りだした携帯電話の傑作で、スマートフォンのさきがけです。アップルのiPhoneとノキアのスマートフォンと並んで世界のシェアを占めています。
しかしこのほどUAEから出ていかざるを得ないということになったようです。原因は、「ブラックベリーを通じてやりとりされるショートメッセージやメール、ウェブブラウズなどのデータをUAE政府が必要なときにアクセスすることが出来ないのが原因だそう。
ブラックベリー上でやりとりされたデータは暗号化されたまま、ただちにUAE外に蓄積されます。当然UAE国内の電波局はサーバーなどは経由するのでしょうが、暗号化されたままな。
逆にいうと、この暗号化技術とデータ集積の中央化がブラックベリーの特徴だったのですがUAEのお上はそう判断しなかったよう。ブラックベリーがこういった「安全な」データやりとり技術を採用している限り、国内での流通は難しいようです。
逆に言うとiPhoneやノキアの端末はいつでも政府がアクセス出来る状態にあるってことですね。やっぱり個人の情報は知らないところで見られ、統合され、分析され、検索されているのですね。
2010/07/31 23:13

Octopus is taking a number of actions to address customer concerns on Octopus Rewards data privacy policies and practices. Please refer to www.octopus.com.hk for details.
(オクトパスは、ポイント制度についての顧客プライバシーに関するポリシーを向上させました。詳しくはwww.octopus.com.hkをご覧ください)
私の携帯電話のSMSにこんなメッセージが入ってきた。オクトパスとは、日本のスイカやパスモに該当するキャッシュレスカードのことで1997年に始まった。そのオクトパスが「200万人分の顧客情報をパートナー企業に販売していた」として大きな問題となっている。
日本と異なるのは、このオクトパスカードが市場を独占していて他のキャッシュレスカードは存在しないということだ。オクトパスカード一枚あれば地下鉄・バス・コンビニ・スーパー・自動販売機などほとんど小銭を意識せずに生活出来る。
実際、「お札や小銭などのキャッシュを使わない生活にチャレンジしてみよう」と思い立ち一日生活してみたが、あまりに簡単に出来てしまって全くチャレンジにならなかった。
それほどオクトパスは香港人の生活に浸透している。
そのオクトパスカードを発行しているオクトパス・ホールディングス株式会社が単なる顧客情報漏洩とは違い、代価を得て200万人もの顧客情報を流出させているのだから穏やかではない。
香港には700万人の人々がいるので、実に30%近くもの人達のデータが本人の許可なく第三者に渡っているわけだ。日本でいうと3000万人以上の人達のデータ、というとボリューム感が伝わるだろうか。
ただ、私はここでケシカランと怒る気にはなれない。200万人のうちの一人であってもだ。この情報化社会では自分の行動履歴が何らかの方法でトラックされていても不思議ではない。
現にウェブでの活動はCookieを通じて全然知らない第三者に分析されており、21世紀のITビジネスで最も急速に成長しているのはこの個人情報の追跡・分析だというニュースもつい最近流れていた。
情報をトラックされるのがイヤだからCookieを全てオフにしてインターネットをブラウズしてみれば分かるが、不便で仕方がない。そこで一つの選択肢にブチ当たるわけだ。
便利さか、個人情報の秘匿
そして横着な私はつい便利さをとって、Cookieをオンにすることで個人情報の秘匿を放棄してしまうわけである。たとえ誰かが私の個人情報で利益を得ていたとしても選択の結果は変わらない。
だから、今回のオクトパス事件もいまいちケシカラン気分にならないのである。
2010/07/30 23:40

米国のGDPデータが発表された。一つ前の四半期では年間3.7%の成長を見込んでいたのだがこの四半期では2.5%となった。ちなみに2009年度の最終四半期では5.0%のGDP成長率を見込んでいたので大幅なダウンだ。
ここにきて、二番底の可能性が再び取り沙汰されている。著名経済評論家のブログやコラムなどでは「次の大幅な下落に備えてキャッシュに変えておけ」というような論調が見られる。
特にその中でも影響力のあるロバート・シラー/エール大学教授は「ここにきて景気後退の兆しが再び見られる。消費者購買指数も減退し、人々は収入のより多くを貯蓄にまわしている」とWSJに語っていた。
一方で、「今回のGDPの数字をよく見ると、輸入が輸出を大きく上回っていたことから(GDPの算出式の項の一つである経常収支は輸出-輸入である)、GDPを2.8%ほど削いだ、輸入が多いということは需要があるからいいのだ」というコメントも聞かれる。
GDPという数値の正当性には諸説紛糾しているものの、ここで大事なのは市場への影響だ。僕たちは基本的にバカというか、何も考えずにマイナスの数字が出てきたら脊髄反射してしまう。
すなわち数字の拠り所となる数字を精査せずに売りだ買いだとやってしまうわけである。(売買判断の実に70%が理性より感情により成されるというリサーチもあるくらい)
更にこういう大物経済評論家のネガティブ発言が重なっていったら足元の景気はむしろ悪くはないのに市況の地合いだけが悪くなっていく。
しかし今後、リーマン級のインパクトが来るとも考えにくいので、多少のボラティリティを覚悟しキャッシュを大幅に増やすことはない。AMGのポートフォリオはキャッシュは多くとも20%くらいかな。
2010/07/29 23:49
オバマ大統領がアメリカの人気トーク番組「ザ・ビュー」に出演していた。大統領がこういった娯楽番組に出演すること自体がニュースなのでアメリカ各メディアはこれを取り上げている。
オバマ大統領登場シーンで観客はスタンディングオベーション、満場総立ちになり拍手をしているのだが日本ではこういったシーンには絶対に巡り会えない。
それが良いとか悪いとかではなく、日本とアメリカでは建国の成り立ちが違うので「リーダー」という条件もまた異なってくるのだと気付かされる。アメリカは移民が起こした国。いわば移民が建国の祖であるが、日本には建国の祖はいない。
混沌とし秩序のない国に新しい世界観を語り、その理想を追求していくアメリカと、いつのまにか国というのがあり「えらい人」というのは利害を調整していくのが上手な人だという認識の日本。
だから日本では誰が首相になってもいいのだ。成熟し各グループの利益がほとんど自動的に調整が出来るため、日本人が首相に求める役割は少なくなってきている。
だから日本の混沌を語るとき、「政治が悪い」というよりもそもそも「政治にやることがあまりない」ということのほうが正解かもしれない。おそらく、日本人の場合は混迷の度合いを究極まで深めなければアメリカの大統領のような人は出てこないのだろう。
それはすなわち、日本はまだまだ平和、ということなのだろうか。
2010/07/28 23:48
"Shit Deal"
ポールソンがアドバイスしゴールドマン・サックスが組成した、不動産担保付証券、アバカスの販売相手として機関投資家を相手にバリバリ販売していたセールスマンが上記「Shit Deal(クソみたいな取引)」とメールで言ってしまったものだから証券委の心証が悪くなってしまった。
というわけで、
"Shit"
などの汚い言葉がメールやSMSでやりとりすることがゴールドマン・サックス内では禁じられた。そもそも日本語には英語ほど汚い言葉がないし、社内でも「お疲れ様です」から始まる敬語をやりとりするので日本ではあまり問題にならないが。
しかしこのルール自体は投資銀行の性質がよく現れている。私たちのようなファイナンシャル・アドバイザーはお客様の資産からメシの種を頂いているのでたとえ社内であれ身内であれ、そんな言葉など出てこない。
投資銀行ならではの「顧客を食い物にする」という姿勢極まって、"Shit"につながったのか。
2010/07/27 23:31
上位1%のアメリカ人金持ちは、アメリカ人が所有している株式全体の83%の株式を所有している。
61%のアメリカ人は、給料ギリギリの生活をしている。
2001年から2007年にかけての国民全体の給料上昇分の66%は、トップ1%カネ持ちの上昇分に吸収されている。
36%のアメリカ人は、定年後の蓄えを全くしていない。
24%のアメリカ人労働者は、蓄えがないので定年を引き伸ばさざるを得ないと考えている。
2008年と比較し、自己破産する人は32%増え1,400,000あまりとなった。
生活コストを十分にまかなえているのは、収入上位5%のアメリカ人だけである。
1950年代、平均的なアメリカ人の給料と会社トップの給料はおよそ30倍であったが、2000年以降300倍から500倍となっている。
2007年時点で80%の家計が資産の7%しか流動資産を有していない。
収入下位50%のアメリカ人の資産をすべて合計しても、アメリカ人全ての資産の1%にも満たない。
アパレル工場で働く中国人の自給は86セント、カンボジア人は22セント。アメリカ人は彼らと競争しなければならない。
21%のアメリカ人児童は、貧困ライン以下で生活をしている。
戦後、猛烈にキャッチアップをしようと頑張ったそのターゲットたるアメリカ中産階級はもう消えてしまった。
こういった状態が次に日本に来ることが容易に考えられるが、アメリカと違うところはアメリカはここ20年は金融で食ってきた民族であるのに対して日本は製造やクリエイティブという実業がある点だ。
キャッチアップする対象がなくなったことで日本はここ20年迷走を続けている。アメリカに倣って金融改革や規制緩和を推し進めてきたが、これが裏目に出ている。
倣うものがダメになった時、「欧米では…」という定型文で時事問題を切ってきた知識人たちが継ぐ言葉はない。何が日本独自の価値で、それをどう世界にプレゼンしていくのかについて、日本人は議論をするのが苦手なようだ。
61%のアメリカ人は、給料ギリギリの生活をしている。
2001年から2007年にかけての国民全体の給料上昇分の66%は、トップ1%カネ持ちの上昇分に吸収されている。
36%のアメリカ人は、定年後の蓄えを全くしていない。
24%のアメリカ人労働者は、蓄えがないので定年を引き伸ばさざるを得ないと考えている。
2008年と比較し、自己破産する人は32%増え1,400,000あまりとなった。
生活コストを十分にまかなえているのは、収入上位5%のアメリカ人だけである。
1950年代、平均的なアメリカ人の給料と会社トップの給料はおよそ30倍であったが、2000年以降300倍から500倍となっている。
2007年時点で80%の家計が資産の7%しか流動資産を有していない。
収入下位50%のアメリカ人の資産をすべて合計しても、アメリカ人全ての資産の1%にも満たない。
アパレル工場で働く中国人の自給は86セント、カンボジア人は22セント。アメリカ人は彼らと競争しなければならない。
21%のアメリカ人児童は、貧困ライン以下で生活をしている。
戦後、猛烈にキャッチアップをしようと頑張ったそのターゲットたるアメリカ中産階級はもう消えてしまった。
こういった状態が次に日本に来ることが容易に考えられるが、アメリカと違うところはアメリカはここ20年は金融で食ってきた民族であるのに対して日本は製造やクリエイティブという実業がある点だ。
キャッチアップする対象がなくなったことで日本はここ20年迷走を続けている。アメリカに倣って金融改革や規制緩和を推し進めてきたが、これが裏目に出ている。
倣うものがダメになった時、「欧米では…」という定型文で時事問題を切ってきた知識人たちが継ぐ言葉はない。何が日本独自の価値で、それをどう世界にプレゼンしていくのかについて、日本人は議論をするのが苦手なようだ。
2010/07/26 23:39
世界各国の中央銀行の中央銀行たる国際決済銀行。その委員会が決定するルールであるBIS規制については、自己資本率が8%を超える名のある銀行であれば必ず受け入れなければならない。
金融危機後、このBIS規制が強化されるのではとずっと噂されてきた。アメリカの議会で話し合われていることとは違い、会議はガラス張りではないのでメディアへの露出も少ない。
このほどWSJのニュースによると、新しいBIS規制について、各区の中央銀行と監督官庁がおおむね同意したと報道された。どうやって銀行の倒産を避けるか、どうやって銀行に対する血税注入を避けるかに重点が置かれている。
ただ実務家は新しい規制については弱腰である。銀行は儲けるだけ儲けた上血税を食いまくってケシカランから自己資本比率を限りなく上げよというのは一面的な議論で、この自己資本比率を上げることによって銀行が貸出リスクを取れなくなり、15年前日本で聞かれた貸しはがし・貸し渋りが起こる懸念もある。
市中にリスクマネーが供給されないということは、経済のリカバリーをより遅らせることにもつながりかねない。BISルールの詳細はまだ明らかにされていない。日本では報道されにくいこういった情報が、長期投資においてはクリティカルな意味を持つこともあるので注視していきたい。
金融危機後、このBIS規制が強化されるのではとずっと噂されてきた。アメリカの議会で話し合われていることとは違い、会議はガラス張りではないのでメディアへの露出も少ない。
このほどWSJのニュースによると、新しいBIS規制について、各区の中央銀行と監督官庁がおおむね同意したと報道された。どうやって銀行の倒産を避けるか、どうやって銀行に対する血税注入を避けるかに重点が置かれている。
ただ実務家は新しい規制については弱腰である。銀行は儲けるだけ儲けた上血税を食いまくってケシカランから自己資本比率を限りなく上げよというのは一面的な議論で、この自己資本比率を上げることによって銀行が貸出リスクを取れなくなり、15年前日本で聞かれた貸しはがし・貸し渋りが起こる懸念もある。
市中にリスクマネーが供給されないということは、経済のリカバリーをより遅らせることにもつながりかねない。BISルールの詳細はまだ明らかにされていない。日本では報道されにくいこういった情報が、長期投資においてはクリティカルな意味を持つこともあるので注視していきたい。

