香港金融譚

主に世界の金融や経済情報についてのブログです。
«Prev || 1 · 2 · 3 · 4 · 5 · 6 · 7 ·... | | Next»
2012/01/13 23:06
1
↑リオ・デ・ジャネイロで建築デザインの仕事を見つけたスペイン人カップル


1990年以降始めて外国からスペインへ移民する数が、スペインから外国へ移民する数よりも少なくなったそうだ。スペインも2007年まで不動産バブルを経験し2008年からバブル崩壊へと傾斜していった。ちょうど2007年の終わりごろに北欧とイギリスを旅行していたのだが、田舎の街の不動産屋にスペインの物件が地元物件の数より多数掲示されていたのが印象的だった。「空の青さが違うからね~ みんな別荘に買うんだよ」と不動産屋は言っていた。

現在、スペインは失業率22%&9000億ドルの財政赤字。青い空の下の不動産は売却できず、それはそのまま中小銀行のリスクとなっている。

もともと失業率の高かった国だが、医療費無料など社会保障が充実していること、そしてラテンの陽気な国民性ゆえに住みやすいスペインを離れる人は少なかったようだ。しかしここにきてスペインも抜本的な財政改革が行われる予定で、社会保障の後退も当然含まれる。

ブラジルはポルトガル語話者が多いが、もともとスペインの人たちはスペイン語とポルトガル語両方を話せる人が多いためブラジルに行っても生活に困ることはない。2016年に開催予定のブラジルオリンピックに向けて仕事を探しにブラジルや南米に移住するスペイン人は今後も増えそうだ。


翻って、日本。昨今の英語ブームなんかを見ていると単なる日本国内でのキャリアアップだけでなく、それ以上に思い切って外国に職を求めようとする人たちが増えているのではないか。香港で求職者数名とお話する機会があったが、むちゃくちゃヤル気があって気迫に圧倒された。英語も上手だったし、「スキルアップ」などという生ぬるいテンションで勉強したのではないことは明白だった。
2012/01/12 23:54

↑フランスは格下げがもたらすデメリットについて、火消しに躍起とのこと


S&Pがフランスを含むユーロ圏9カ国の格下げを行った。S&Pが格下げするであろうこと自体は以前から予想されていたことであり、その意味ではサプライズな格下げではない。問題は、格下げに付随して起こるであろうイベントだ。

格付会社が格下げした、ということは資金調達が難しくなるということだ。AAA格付の国が発行する国債と今回フランスがAAA格から1ランク下がってAA+(ダブルエープラス)となった国債とでは利回りが異なって当然、ということになる。

・フランスのユーロ債務危機問題へのコミットが難しくなる

もともとフランスはドイツにカネを出せ出せと迫る一方で、かつて同じAAA格にありながら自分ではドイツと同じほど思い切って出そうとはしなかった。欧州金融安定ファシリティ(EFSF)では拠出割合がドイツ27%に対してフランス20%である。格付が同じだから同額を、という訳ではないが、ドイツ国民からしてみればドイツ一国だけがユーロを背負わされるのはたまったものではない。

今回の格下げでフランスが信用の点でドイツよりも格下となってしまい、フランスはますますカネを出し渋り、ドイツはますます重荷を背負う。

・2月、ギリシャが救われずに再び金融危機

ギリシャ一国が破たんしたとしてもギリシャ外との取引がなければまったく問題はないのだが、金融機関やファンドがギリシャ国債を保有しておりギリシャ国債が紙くずとなった時点で金融機関は手持ちの資産を売却し金融当局が要請するキャッシュの保全に努めるし、ファンドも引き出し要請に応えるため他の資産を売却しキャッシュを用意しておかねばならない。

資産価格が下落すればそれだけ市場から逃げていく人が多くなる。要するに、皆が皆「手元にキャッシュをおいておこう」という状態となる。



S&Pは長期国債を「ネガティブ」としており、これは1-2年後に再び格下げをする可能性が3分の1あることを示す。ただ2012年度中にはこのユーロ債務危機問題は何らかの形で決着がついているだろうから、仮に格下げが行われたとしても今ほどのインパクトはないだろう。

ただ、それでもユーロ圏が瓦解してしまようなことはないと思う。株価が下落したとしても、ユーロが安くなったとしてもそれだけでユーロ圏を解消しましょう…というにはコストがかかりすぎるからだ。ユーロという通貨をこの世から消し去ってしまうには、フランスとドイツが戦争を始めるとかそういった非現実的な状態が必要となるだろう。
2012/01/11 23:24
フランス大統領のサルコジとドイツ首相のメルケルが、両者に意見の隔たりはあっても今回のユーロ危機の解決に主要な役割を果たしユーロ圏瓦解の防波堤となっていることは間違いない。

しかしフランス大統領が5月にある。事前の調査によると、この5月の大統領選でサルコジはサルコジに対抗するフランソワ・オランド候補に敗れる可能性が今のところ濃厚なようだ。

危機の解決の代償としてフランスは将来的に10兆円近い資金を拠出し、フランス国債も格下げされる可能性が濃厚となってきた。フランスの財政を悪化させた責任をサルコジが取らされることとなる。

イタリア、スペイン、ギリシャから見れば「サルコジのおかげで助かった」となるのだが本国フランス人からはそっぽを向かれる結果となった。サルコジからすれば、ユーロの連帯維持という大義のために戦ってそっぽを向かれたのではやりきれないだろう。

しかもギリシャは2011年は通年でマイナス成長、ドイツもリセッション入りが濃厚な雰囲気だ。そして財政出動から需要を喚起するというケインジアン的政策はもう取れそうにない。

5月以降のユーロの行方が大変心配なのだが、一方で良いニュースも。頑固親父であったヨーロッパ中央銀行(ECB)の前総裁のトリシェから現総裁のマリオ・ドラギに変わってからトリシェが出来なかった"ECBから銀行への低利融資"が行われる。従ってリーマンショックの時のように一気に流動性が干上がってにっちもさっちもいかない…みたいなことは起こりそうにない。
2012/01/10 23:23
中国政府の2011年度の税収は前年度比で25%増えた。GDPが9%の伸びであったので税収と比較するとおよそ3倍の伸びとなる。

2012年、エコノミストたちのGDP成長率のコンセンサスは8%前半。8%以上の成長率の伸びが中国共産党政権の政権維持が暴動などで外から脅かされないラインである。

8%を切ると自動的に暴動が起きる…というわけではないが、今までの胡錦濤や温家宝の発言を効いていると中国共産党が8%を意識しているのが分かる。

そして私たち市場ウォッチャーは今年中、あるいは遅くとも来年の前半には消費税率引き下げ、輸入関税引き下げ、印紙税引き下げなどを含む税の引き下げが実施されると予想するとともに、2008年に行われたような家電やクルマの購入補助金がバラまかれると考えている。

奇しくも先日、過去最高の輸出高が報告された。しかし一方で輸入高の減速が同時に伝えられている。すなわち欧米の低成長にも関わらず世界はまだ中国を工場として認識しているが、中国の内需の拡大 - これは中国が先進国入りするのに避けて通れない課題である - が思ったペースでは進んでいないことを意味する。

仮に中国の税収がキビシイものであれば内需の拡大を刺激する"バラマキ"は考えにくいが、税収25%増という数字をみるとこのバラマキは苦しいものではないだろう。バラマキの規模によっては株式市場に大きなプラスのインパクトを与えるので注視が必要だ。
2012/01/09 23:46


1-3月にユーロ圏全体で2400億ユーロの国債償還がある。その国債がうまく消化されるかどうかで、株式市場に与えるインパクトも変わってくる。リスボン条約によりヨーロッパ中央銀行による国債購入が認められていない中、我慢ができなくなったECBがLoLRすなわち最後の借り手となれるかどうか…

仮にユーロ圏の問題がスムーズでなくとも解決されるとして、株式市場に目を向けてみると悪くない。マーケットのコラムニストたちは「キャッシュ・イズ・キング」すなわちリスク資産は避けいつでもマーケットに入れるようにキャッシュを置いておけと指南している。

市場にいつ入っていくか、マーケットタイミングを図る指標としていわゆるVIX指数(ボラティリティ指数)があるが、このところのボラティリティの低さはいわば「入りやすい」ということになる。

20を切れば「入ってよし」というのがマーケットタイマーの定石らしいが、20を切って入っていっても一番おいしい部分は拾えない。AMGはVIXをマーケット・タイマーとして一つの指標にはしているが、ボラティリティが落ち着いたところで… みたいな売り買いはしない。
2012/01/08 23:25
我が家にはテレビが一台もありません。大学生のとき、狭い部屋で下宿を始めた際にテレビを置くスペースがなかったので「引越ししたらテレビ買おう」と思いつつそのままテレビのない生活を続けたところ、意外とテレビなしでも生活できることを知ってしまいそのままテレビなしの生活を続けて16年。

大学2年生のときに神戸市須磨区で起こった連続児童殺害事件、いわゆる酒鬼薔薇事件の際はさすがに情報の遅れを感じてテレビを買おうか迷いましたが、結局たまたま近くに住んでいた親類の家のテレビを見せてもらえることになりそこで酒鬼薔薇事件情報をアップデート出来、浦島太郎状態は避けられました。

当時はインターネットも黎明期で何でもかんでもインターネットで情報を取る、という時代ではまだなかったのですね。

そんなテレビのない生活を続けている私ですが、「あんなくだらない番組を貴重な時間を使ってなぜ見なきゃならんのだ」という典型的なアンチ・テレビの方とは逆。むしろテレビ番組が面白すぎてついつい長時間見てしまい、それだけでも相当な時間を無駄にしそうだという恐怖があるのです。

特別器量の良くない私の時間が「あー面白かった」に削られれば、我が人生のアウトプットはしょーもないモノになる。そういう恐怖ですね。

あとテレビというモノに対する考え方も経年変化してきておりますね。僕が小学生の頃くらいまでは、まだ最新のテレビを所有するというのがステータスであったような気がします。今から思えばそれは最新のテレビ=よりよい暮らしという昭和的価値観の延長線の最後のほうでした。

若者のクルマ離れに代表されるように、僕らの世代は「人が所有しているから自分も」とか「生活レベルが上がればしかるべきモノ・コトを」という価値観が欠落しております。なので私もテレビを所有していないことに対して全く違和感を感じないのです。

しかも「多くの他人が知ってることで、自分が知らないこと」についても鈍感であることが許される時代。誰かの話についていけなくとも、気後れすることもなくなってしまって「それ知らないんです、教えてください」と開き直って周囲に「そういう人なんだ」と認識されてしまえばもう何も怖いものナシ。

ワールドカップの時などどうしてもテレビで見たい番組があるときは、村に一つしかないテレビで放送される力道山の試合に群がる1950年代の子供たちのように、「お願い!テレビ見せて!」と言います。

事あるごとに人にテレビなし生活をオススメしておりますが、実践に至らせるまでの説得力を未だ持ち得ておらず… 一度経験してみるとその良さが分かると思うのですけどね…
2012/01/07 23:12
セバーンロード8号。モナコのプリンセスグレース・アベニュー、ロンドンのケンジントン・ロードを抑え、2011年には世界一高い物件となってしまいました。セバーンロード8号には16戸のフラットがあり広さは250平米から450平米、物件価格は各物件20億円から40億円也。

現在3フラットほどが売りに出されております。AMGの不動産部門がそのセバーンロード8号の取り扱いを始めると聞き、野次馬として参加してきました。


View Larger Map

まず、AMGの事務所のあるセントラルからセバーンロード8号までクルマで30分。セントラルからピークに行くまで10分程度なのに、セバーンロード8号にたどり着くまでの道があまりに複雑で途中クルマ酔いするほどでした。到着する前に(仮に何かの間違いでセバーンロード8号に住むことが出来たとしても、この道はツライ…)とテンション下がり気味。

不動産部門の人が言うには「この家に住めるような人は上場企業の創業者や映画スターなど、間違いなく有名人だろうから、プライバシーが守られるように人目のつかないところに住むんだよ」とのこと。4台駐車可能な自宅の駐車場からエレベーターにのってまずは屋上へ。

1


景色、いいです。香港を見下ろす天空の城… 王様になった気分。周囲は森に囲まれて、プライバシーは完全に守られています。夜景はさぞ綺麗でしょうな。

2


建物外観。築6年。まだ新しいほうですね。

3


大きなバルコニー。中にはリビング、ダイニング、4ベッドルーム、メイド部屋。それぞれ「これでもかっ!」というくらい間取りを大きく取ってありました。10人くらい余裕で住めそう。ちなみにこの物件は4億香港ドル、40億円で売りに出されております。現オーナーは2年前に28億円で取得… ってことは仮に40億円で売却すると12億円儲かるってことですね。どひゃー。

最初はAMG不動産の幹部とこのオーナーと、とあるパーティーで知り合ったそう。トントン拍子で話が進んで、売りに出すことに決めたとのこと。身近なところでとんでもないカネ持ちと会えるというところが、いかにも香港らしい話です。
2012/01/06 23:31




2012年のアメリカ・民主党の課題は、アメリカ国民に「経済は改善しているよ」と納得させることである。景気が良くなっているとは言えずとも、少なくとも経済は悪化の方向に向かわずに(民主党が政権を握っているおかげで)なんとか持ちこたえている、と。

12月、失業率は8.5%と前月より0.1%改善した。これは二期連続大統領になろうとしているオバマ大統領には追い風だ。このペースでいくと2012年の大統領選挙まで失業率が8%を切る可能性も大いにある。一時は10%を超えるか、と囁かれた失業率が少しでも改善していっているのは、実際の景況がどうあれイメージアップになることには違いない。

しかも、仮に失業率が8%だとしても失業率が高いことには変わりはない。したがって失業率を大きな指標とする連銀が大統領選前にQE3を仕掛けてくる可能性は全然ある。そうなれば株高も演出されてより大きな追い風となろう。就職までの期間が長期化している中で失業率が今後劇的に下がる可能性は少なく(1年以上の長期失業者は就職を諦めたものとみなし、失業者としてカウントされない)、仮に2008年からの平均月間雇用数13万を維持したとすれば国民を納得させるには十分な材料となる。

ただ実際のところは労働市場は悪化している、ともみれる。この意味で失業率は景気の善し悪しを表す指標ではないことはもちろん、労働市場の善し悪しを表す指標ですらない。

まず、就職までの期間が長期化している。2010年12月時点では失業者が雇用されるまで平均34.2週の時間を要したが、2011年12月時点ではこれが40.8週となっている。また、アフリカ系アメリカ人の失業率はなおも上昇し、ヒスパニック系、中卒、16歳から19歳の若年者層の失業率は依然として高いままで改善はされていない。

失業率の改善は、これらのカテゴリーに入る人たちの状況を覆い隠してしまう。そしてオバマ大統領はこれらのマイノリティ・グループの支持を以前のように得られるのか、という疑問もわいてくる。

ちなみに金融市場となると話は別だ。WSJの調査によると、米国債のプライマリー・ボンドディーラー21社のうち14社が「夏ごろまでに連銀は米国債を買い入れるという形での緩和策をとるだろう」と予想している。失業率が劇的に改善しない限り、QE3はあるだろう。そして失業率が劇的に改善する要素は見当たらない。

ちなみに、月間20万の雇用が生み出されるとして、2007年の雇用市場が絶好調だった状態に戻るまであと2年半かかるのだが… 
2012/01/05 23:28
1

世界最大の自動車市場である中国に自動車メーカーは100社ほどある。「上海大衆」などはフォルクスワーゲンとのJVの会社。しかし外国メーカーとJVを組んでいない純中国車メーカーの名前をひとつあげろ、と言われると電気自動車のBYDくらいで他は思い出せない。というか聞いたことすらないと思う。

この一事をもって中国の経済構造がよくわかる。中国の自動車メーカーは物理的には一台のクルマが出来上がるまで製造をしており、それら自動車工場が生み出す雇用はとてつもなく大きいのだが、日本のトヨタやホンダ、アメリカのGMやクライスラー、ドイツのメルセデスのようなメーカーはひとつもない。

それに業を煮やした中国政府は5日に「外国の自動車メーカーに対する投資を制限する」と発表した。また同時に外国の自動車メーカーに与えられている税の優遇や認可手続きの合理化などのメリットが受けられなくなる。これにより、国内メーカーに優位性を与えようとするものだ。

「メーカーの淘汰は市場の判断に任せるべきで、政府が介入すべきでない」とアメリカの商務省のスポークスマンの発表が早速あった。

しかもこの政策は諸刃の剣である。中国政府が「技術を輸入するまでは、外国のメーカーを手を組む」という段階から「国産の自動車メーカーを育てる」という方向に明確にシフトしたことは、外国メーカーにとってはリスク要因だ。中国の自動車市場が今後も世界最大であることは当分の間揺るがないが、数字に現れないこういった政策コストを勘案すると中国で生産するという方向を見直す必要がでてくる。

そうなると、雇用が失われるかもしれない。
2012/01/04 23:48


この数年、アジア地域の成長は大手商業銀行、投資銀行にとっては大きな収益源だった。しかし現在、それら大手銀のアジアに対する見方は悲観的になっており、レイオフが始まっている。

9月にはHSBC香港は今後3年間で3,000人を整理解雇すると発表、地元では再優良企業として認知されているだけにこのレイオフのニュースはしばらくは話のネタとなっていた。金融危機の時ですら首切りは1,000人である。3,000人はインパクトが大きい。

野村證券香港、シティグループ、ゴールドマン・サックス、バンカメなども香港・シンガポールを中心として小規模なレイオフが始まっている。モルガン・スタンレーはより大きな規模でレイオフを実施するらしい。アジア中心の戦略を見直す必要に迫られているのだ。

ところで農暦の正月がもうすぐやってくる。クリスマス、1月1日のニューイヤー、そして農暦の正月と香港は12月末から1月いっぱいくらいまでお正月気分だ。街中には人があふれ、ショッピングモールは本土から買い物にくる中国人でいっぱい。そんな中にレイオフのニュースが入ってきてもピンとこない。
«Prev || 1 · 2 · 3 · 4 · 5 · 6 · 7 ·... | | Next»