香港金融譚

主に世界の金融や経済情報についてのブログです。
«Prev || 1 · 2 · 3 · 4 · 5 · 6 ·... | | Next»
2010/03/01 23:40
日本が米国債保有高ナンバー1となって、米国の財務状況分析に関する議論が表層的にでも出て来るかと思っていたが日本のメディアを見る限りほとんど、ない。

私自身もお気楽な人間だが日本は総体としてさらにお気楽なようだ。不安をあおるばかりでは良くないが事実を事実として伝えることは間違ってはいないだろう…

と思ったのも2009年春までオバマ政権の商務省長官だったグレッグ上院議員から「アメリカは今後5年から7年で財政赤字が引き起こす可能性がある」との言葉が出てきたためだ。

バーナンキは財政規律を守るためあるいはインフレを避けるためこれ以上米国債を買い上げることはしたくない、政府のほうで財政赤字をコツコツと削ってくれという態度でいる。

日本は日銀が日本国債を買ってはいけないという法律があるのでその点は日本のほうが財政規律的には正しい(ただし、日本は超赤字国家ではある)

しかし日本と違って米国は外国から借金をしている。すなわち米国債は外国人投資家が60%を保有するにいたっているのだが、これは日本の国債の外国人保有率7%とは大違いだ。

ほとんどの日本国債を保有しているのは日本人と日本法人だ。これらの人たちが日本国をデフォルトにしようという意図はない(はず)だろうから日本国からの支払いが途絶えたところで大混乱にはならないだろう。

しかしアメリカは違う。世界規模で米国債の叩き売りが行われる。さらに厄介なことに米ドルは基軸通貨でもあるので世界経済が大パニックに陥る。

IMFは米ドルにかわる基軸通貨であるSDR(特別引出権)なるものを提唱しているが実現にはまだまだ遠そうだ。

中国は米国債を売却し始めて他の資産に移動している。中国の外貨準備高の運用ポートフォリオでは米ドルはより少なく、米ドルと相反する動きのゴールドやコモディティはより多くなっているはずだ。

感覚的な話としてアメリカが倒産するというのは考えにくい。私たち日本人が生きてきた時代は常にアメリカが強かったからだ。

しかし情緒的になっては事実を見失う。投資家が事実を見失えば、すなわちマネーも失うことになる。
2010/02/28 23:09
4ヶ月前から我が家にお手伝いさんに来てくれていたフィリピン人・メイドのアイビーさんが4月イッパイでお国に帰ることになりました。

何やら家族の都合ということですが詳しくは教えてもらえませんでしたが、とにかく帰らなければいけないということで我が家でのワークは6ヶ月間でピリオドを打つことに。

しばらくアイビーさんのことについては書いてなかったですが、今までの経験を総括するとお手伝いさんを雇うというのは自身の生活を永久に一変させます。

というのもとにかく生活が

劇的に楽

になります。朝起きたら朝ごはん、夜帰れば夜ごはんが出てくるし、それまでにベッド・メイキングが終わっていて家は掃除機がかけられている。トイレも毎日掃除しているのでピカピカ。

家事のほとんどを任せるわけですから夫婦間で「家事の分担」を云々することがなくなります。喧嘩のタネが一つ減るわけですね。

その生活が毎月HKD3,580すなわち日本円にして4万円程度で手に入るわけです。日本で同じ内容のお手伝いをしてもらおうとすればたちまち何十万円とかかるでしょう。

もちろんメイドさんの住み込みの部屋を与えなければいけませんし、保険や毎年1度お国に帰る航空券を買ってあげなければいけません。

「家に誰か他の人が住んでいるのはイヤだ」というのはとてもよく分かりますが香港のマンションは実にうまく設計されていて家の中のお手伝いさんの部屋がマスター・ルームから一番遠くにあり普段お互いに生活臭を意識することなく過ごせます。

しかし、4万円でいいのか?こんなに手伝ってもらって本当に4万円でいいのか?と若干罪の意識すら感じるプライスですが、たとえばアイビーさんの祖国フィリピンは月収平均が毎月2万円ですから、本国にいて2万円を稼ぐよりも香港に来て4万円を稼いだほうが理にかなっている場合があるのです。

3580香港ドルは香港の法定の最低賃金であり、もちろんそれ以上支払ってもいいのですがほとんどのメイドさんがこの給料で働いているようです。

少しでも生活費を浮かせて実家に仕送りするために週に1度だけの休みですら返上して働いているメイドさんもいます。要するに週7で働いているわけですが。

お手伝いさんと家主とは労使関係になるのでそこには緊張関係もあるわけです。先日、家主のあまりの暴言で精神的に追い詰められたメイドが家主を出刃包丁でメッタ切りにするというショッキングな事件がありました。

そういった摩擦を避けるため、お手伝いさんとは必要最低限のことのみ伝えて一切その他の会話はしないという徹底した家主もいます。

また、クビにされることを前提にお手伝いに来るお手伝いさんもいます。クビにされたら1か月分の給料が余計に出るので「早くクビにされるほうがオイシイ」ので、お手伝いに来て3日目に家主に「カネ貸してくれ」というそうです。

カネ貸してくれと言われると二つの選択肢があるわけですがどちらも良い結果を生みません。すなわち

カネを貸すのだが、おそらく返してくれる可能性はゼロ。返してとお願いすることもストレス。
カネは貸さないが、逆恨みして家のモノを取られたら困る。

ということでやっぱりクビにせざるを得ず、ほとんど手伝ってもらってないにも関わらず1か月分の給料を支払わなければいけないということになります。

こういうことがあるので香港では家主とお手伝いさんの関係は必ずしも蜜月ではないのです。


あぁ いいお手伝いさん見つかるかな…
2010/02/27 23:43
AMGでは3ヶ月に1度アドバイザー全員が集まってパーティが催されます。アドバイザー同士は普段はほとんど横のつながりがなく、しかもAMGにはアドバイザーは登録ベースで100人ほどいますから、顔と名前が全然一致しないのです。

AMGのボスもそれを十分承知していて、せっかく集合知を活かせる機会がありながらそれを無駄にするわけにはいかないと、定期的にこういう機会を設けるのですね。

1

今日もワインがたくさん… ゴチになります。

2

テーブルあたり10人くらいのアドバイザーが座るわけですが、この席順がまた絶妙で。ボスは小学校の先生かって思うくらい「知らない人」「知ってる人」のバランスがあるわけです。

知らない人とはもちろん自己紹介から始めるのですが全員知らない人であればトークが始まりにくい。だから少数の知ってる人と一緒に座らせることで相槌を打つ役や質問をする役なんかに分かれてトークをすることができるわけです。

「2009年はアドバイザー業界は3割売上高が落ちた」とか「コンプライアンスがまた厳しくなって書類事務だけで忙殺される」とかくらい話ばっかりでしたが…


酒が飲めたのですべて良し。
2010/02/26 23:50
春節が終わり、しばらくすると「工場の労働者が帰ってこない」という嘆きをほうぼうで聞くことになる。私の相方の両親も広東省でアルミ工場を営んでいるが、決まってこの季節に「工員が帰ってこない」とボヤいている。

すなわち春節正月に実家に帰ってしまってそのまま・・・ という状態だ。

つい3年前までは工員は単に「春節で休みボケしてしまい、休みボケから現実に戻るのがイヤでそのまま実家に居続ける」という単なる怠け心から工場に戻らないという理由であった。

戻らない人が一定数いるから工場長は戻らない工員分を勘案して人員を確保していたのだ。

しかし今年の春節のボヤきからは違った声が聞かれている。

「沿岸部のセールス職のほうが給料がいいから、工場をやめてそちらに転職したようだ。特に若い工員は低賃金で3K(きたない・きつい・きけん)の仕事をするのをとても嫌がっている」

とか

「月1500元なんていう低賃金は、この労働者が不足している状況の中で魅力的ではないようだ。かといって賃金を大幅にあげられない」

これらの理由はもっともだ。しかしより構造的な問題も浮き上がっている。

「そもそも低スキルの人材をいくら確保していたってしょうがない。中国は世界の工場から脱皮しつつあり、新しい付加価値を生み出すことを要求されているから低スキル労働者が帰ってこないのはむしろ喜ばしい」

「2000年から大学を増やしまくったせいで大卒のレベルがうんと下がってしまった。以前なら大卒を迎え入れることは幹部候補のつもりだったのに、今では安心して大卒を採用することが出来ない」

というようなコメントも聞かれた。


中国は常に人手不足なのだが、現在需要と供給が全然マッチしていないようだ。
2010/02/25 19:48
トヨタの公聴会は、イジメのような陰湿さであった。WSJのニュース・ハブでも公聴会での議会の追求の仕方、たとえば「恥を知れ!」なんていう追求の仕方は「国内の不満を解消するためにターゲットが必要であったのではないか」というニュアンスで語られている。



日本でどういう報道のされ方をしているのか分からないが、このトヨタのリコール問題にまつわるニュースでこの側面を伝えない報道がされているのだとすれば、とても悲しい。特に日本はアメリカに対してはいつも低頭平身な状態だからトヨタを一方的に悪者にしている報道のされ方であれば日本人として忸怩たる想いだ。

アメ車なんてトヨタよりもっとつぶれやすいし、そもそもアメリカ文化はリコールを「修理して良くなるんだから結構なことだ」という風習がある。工業製品を完璧な形で出さなければいけないと思っているのは日本人の美徳だ。アメリカ人にそんな考えはない。

なのに今回鬼の首でもとったようにトヨタを厳しく追求するのは政治ショーの何者でもない、と思う。

議会がフラストレーションなのは金融改革が当初の思惑どおりに進まず(CDSのオープンマーケットも掛け声だけで全然出来てない)、失業率も改善しておらず住宅市場も鈍化、メディケア&年金も不安なままなのであの明るいアメリカ人でも暗くならざるを得ない状況を政治が打開出来てないという背景がある。

これがニッサンだったりスバルだったりすれば話は絶対変わってきているはずだ。外資が入ってるから。為政者は国民のルサンチマンを解消しかつ自分たちに害が及ばない手段をよく知っているのだ。
2010/02/24 23:39
2000年前後のITバブル、「インターネットは新しい産業革命だ」ともてはやされ利益がまったく出ていない会社でも株価はうなぎのぼり… そんな狂乱の時代があった。

古くはオランダのチューリップ・バブルからはじまり、人間は新しい問題に直面しているようにみえながら実は古くから繰り返されているひとつの間違いを繰り返しているだけなのである。

つまり人間は総体として、数百年前から前前賢くなっていないということを豊富なデータを引用することで、読んでいて悲しくなるくらいこれでもかと思い知らされる本を読んだ。



その本の著者であるハーバード大教授のロゴフ氏が中国バブルを警戒している。短期では中国は魅力的な市場ではあるが、延々と繰り返されてきた土地と建物にまつわるバブルは中国でも繰り返されるだろうと。

短期的な景気の落ち込みを財政出動でカバーすることで、そこで新たなバブルの種を蒔いていることとおなじになる。次のバブルが起こるまでは平和に見えるが人々は簡単に過去のことを忘れリスク性向が高まる。

そして歴史を無視して狂乱へと突入していく… と。中国は2009年世界の成長の伸びしろの3分の1の源泉となったことから投機対象となりやすい。中国政府もそれを警戒して住宅ローンの貸出残高を締め付けたりしてはいる。

「日本のバブル崩壊後と違って、中国は実によくやっている」

とロゴフ氏はいう。しかし、

「歴史は繰り返す」

らしい。中国への熱視線は、いつも冷視線と隣合わせでないとダメだと警告している。
2010/02/23 23:20
1

アメリカでは既に3度、固定資産税と住宅ローン支払い金利における税控除が認められた。初回住宅購入者に限り税控除を認めるこの制度は1度目はUSD7,500、2度目はUSD8,000、3度目はUSD6,500の最大控除の適用が受けられる。

これにより140万人の新規住宅購入者がこの控除の恩恵を受けたといわれるが、中国の景気浮揚策と同様効果は限定的なようだ。

新規住宅購入数は落ち込んでいる。売れ残り住宅件数も上昇しており、景気回復をにらんで新規に建設した物件には寒い風が吹いている。

同様に、中小企業の新規雇用控除すなわち新しく人を雇ったら税控除を受けられるという税控除もうまく機能していない。中小企業が望むのは法人税の引き下げであって需要自体が落ち込んでいる時に新人を雇入れる余裕はそもそもない、というのが実情のようだ。
2010/02/22 23:15
中国が2009年10月11月12月と米国債の保有高を減らしていた=米国債を売却していたとはいっても売却ボリュームは米国債全保有高の5%程度に過ぎない。

市場は「政治的な意図がある」としているが当然政治的な意図があるに決まっている。米国への武器輸出やダライ・ラマとの接触は確実に中国の神経を逆なでしている。

(逆なでしているからダメということでは、当然ない。政治にしても経済にしてもビジネスにしても、中国の強引なやり方にカチンと来ることは私にもよくある。ただポートフォリオのリターンを上げるためには事実をつかまないといけない)

中国は積み上がった外貨準備の運用先として米国債を外し始めた。米国の力が強かった2007年までは淡々と買い進め、力が弱まったときに外交カードとして米国債の保有高を変えるというこの手法は見事ではある。

そして中国や中東はこの潤沢な外貨準備を利用していわゆる国富ファンド(ソブリン・ファンド)を立ち上げた。中国国富ファンド中国投資有限責任公司が買うものは次の3点だと言われている。

技術、資源、ゴールド

ゴールドはともかく技術や資源は中国によって青田買いされる可能性が高い。
2010/02/21 23:48
年中行事といえば、子どもが出来れば年中行事に敏感になるものです。私自身はクリスマスもお正月もこどもの日も自分の誕生日さえも関心のない、まるで季節感がありません。

ただ子どもが出来、すくすく育っている様子を見ていると自然と「良かったな」と温かい祝福の気持ちが湧いてきます。

お手伝いさんのアイビーさんも家事を仕切ってくれているし、相方は肉体的には辛そうですが精神的には朗らかでいてくれています。私の仕事も時間が自由になるのでいわゆる乳幼児期の子育ての辛さというのをまるで味わってないです。夜起こされるのも苦痛ではなく、オムツの交換は至福のひとときですらあります。

さてもうすぐひな祭り。私の母親がひな人形を日本から送ってきてくれました。いわく「女の子だから」ということです。こういう所は私は本当に鈍感なので母親が雛人形を送ってくれなければスルーしていたに違いありません。

1

届いたのはこの二つ。「季節のものなので遅配は許されません」みたいなことが書かれておりました。国際スピード郵便での送付。上下も大事なので、ダンボールは上下逆さまにならないようアピールしまくり。

2

ひな人形というのは何ともみやびな造形ですが、やはり平安時代の着せ替え人形なんかがルーツなんですかね。私が少年のころ部屋の一室を占領していた5段ひな飾りは邪魔で仕方ありませんでしたが、みやびな感じが近寄りがたい雰囲気を出していたのを思い出します。

3

しっかり梱包されてます。

5


ひな壇を置くところが問題になりました。うまく置けるスペースが見つからなかったのでピアノの上に置くことに。毛せんを敷いて、壇をつくります。どうやら本物の漆が使用されているよう。

6

この辺りからちょっと楽しくなってきてます。「お内裏さーまとお雛さまー ふーたり並んで… ふーたり並んで… えーと続きなんだっけー」って香港人に聞いても仕方ないのに。

お雛様の扇子の持ち方とか、お内裏様の大刀の角度とか、やはり気になって微調整を繰り返すのです。遠くから見ては「もうちょっと右ー ちがーう行き過ぎー」とか。やり始めると結構楽しいぞ、ひな祭り。

7

ボンボリだ! 電池が入れられるようになっていてボンボリの裏に「Wirelessぼんぼり」と書いてありました。ここだけ英語でしかもワイヤレスって気張って言ってるのがなんだか素敵。

8

完成。あとは3月3日にちらし寿司を作れば年中行事としてはほぼ完璧でしょうか。
2010/02/20 23:19


スーパースターとはかくも過酷な商売なのかと改めて思いましたね。タイガー・ウッズの謝罪会見。よもや謝罪会見などが開催されるとは思ってもみなかったのでこのニュースが報道されたときの印象は「驚き」でした。

なぜタイガー・ウッズが公共の電波を使って自身がおかした不貞について謝罪せねばならんのだ、と思いました。いや公共の電波を使って私的な謝罪をするのがケシカランというわけではありません。

彼自身が認めている不貞行為はホメられたものではありません。妻子がいる身分としては同列の私でも、結婚がどういう約束なのかというのは理解しているつもりです。タイガーの奥さんもお子さんもこの件で傷ついたのは確かでしょう。

ただ世界中の人にまで謝らなくてもいいのではないか、と。妻子とその家族以外はタイガー・ウッズの貞操についてとやかく言える立場じゃないし、僕らがタイガー・ウッズにおカネを払って不貞行為を禁止していたわけでもない。

奥様とお子様にはあ申し訳ないが、タイガー・ウッズには「大変でしたね、でもそんなバカなことはもうやめて、またいいプレー見せて下さいよ」と言いたいしそれしか言えない。幻滅してファンじゃなくなった人もいるだろうが、そもそも才能を下半身でジャッジするのが間違ってると言いたい。

もっとも彼は巨大企業がスポンサーについているから、その巨大企業の顔色を伺うために今回の謝罪会見を開いたと下衆の勘ぐりもできる。

ただなんだか消費者原理主義が肥大化して、「大衆」の力が一人のスーパースターをこの世から消してしまうような感覚があります。得に最近の大衆が何かに向ける批判は根拠なく先鋭化する。

同じようなことがスノボの国母選手の服装に対するバッシングにも言えます。彼の謝罪を聞きたいっていうのはどういう理屈なのか理解不能だし、すぐそういう批判の対象にされてしまう能力ある人達には同情を禁じ得ない。
«Prev || 1 · 2 · 3 · 4 · 5 · 6 ·... | | Next»