香港金融譚
主に世界の金融や経済情報についてのブログです。
2011/10/05 23:57
今回の世界同時株安は、米国債格下げからの市場センチメントがあまりにも弱いことからきている。足元の経済は意外と底堅く、IFAの感覚からいってもモノもサービスも流れている。不景気、という感覚には程遠い。ましてや日本の新聞や雑誌が書き立てるような「世界の終末」であれば、ゴールドがあれほど売られはしない。
ただ、このセンチメントを好転させるためにはかなりのパワープレーが必要になりそうだ。ドイツのメルケル首相、フランスのサルコジ大統領、そしてヨーロッパ中央銀行総裁のトリシェ、IMF専務理事のラガルドらの発言に市場は注目しているのだが、誰も
「絶対にギリシャを破綻させはしまい」
と発言してくれない。しかも当のギリシャもいきなり財政赤字削減計画に遅れが出たということで、夏休みに宿題をやってこなかった子が9月終わりに近づいてもまだ全部提出しないというダメっぷりに市場は失望したりしている。
EUの連帯が大きく損なわれている今だからこそ、メルケルとサルコジが「ユーロ圏は盤石である。ギリシャは破綻しない」と言ってくれればセンチメントは好転するのになぁ。
ただ、このセンチメントを好転させるためにはかなりのパワープレーが必要になりそうだ。ドイツのメルケル首相、フランスのサルコジ大統領、そしてヨーロッパ中央銀行総裁のトリシェ、IMF専務理事のラガルドらの発言に市場は注目しているのだが、誰も
「絶対にギリシャを破綻させはしまい」
と発言してくれない。しかも当のギリシャもいきなり財政赤字削減計画に遅れが出たということで、夏休みに宿題をやってこなかった子が9月終わりに近づいてもまだ全部提出しないというダメっぷりに市場は失望したりしている。
EUの連帯が大きく損なわれている今だからこそ、メルケルとサルコジが「ユーロ圏は盤石である。ギリシャは破綻しない」と言ってくれればセンチメントは好転するのになぁ。
2011/10/04 23:19
フランスのデクシア銀行が数日中にリストラクチャリングをする、とフランスの中央銀行総裁とフランス財務省が共同で発表した。聞いたことがない銀行であるが、ヨーロッパのブログでもフランスで最もヤバい銀行の中の一つだということは理解できた。
1250億ユーロ分の不良債権が政府に買い取られた後、フランスの貯蓄銀行に買収される見込み。
フランスの銀行については、エコノミストも評価が分かれていて判断が難しい。フランスの銀行のほうがアメリカの銀行のより健全だ(根拠は不明)、いや逆だ(フランスの銀行というよりヨーロッパの銀行は膿の出方が遅い)と評価が一定しない。
個人的には、銀行単体でヤバいかヤバくないかを判断しても仕方なく、ユーロという蜘蛛の巣のようになってしまった金融と流通の網がPIIGS諸国の重みに耐え切れずに悲鳴をあげていることに着目すべきだと思っている。
アメリカは連邦政府が言ったことは各州は右向け右。各国間の調整と妥協が必要なヨーロッパとは大きく違うところである。なのでAMGのポートフォリオではヨーロッパについては株価指標が仮にしばらく上向きであっても、ネガティブなイメージが続くだろう。
しかしデクシア銀行がリストラクチャリングされる、ということを先に言ってもらってたおかげでいきなり言われるのと違って投資家心理はずいぶんやらわいだのではないか。
2011/10/03 23:06
不動産バブルは潰れないし、政府が潰さない…と。おそらく、大多数の中国人(というか不動産投資家)が先月くらいまでこう考えていた。これは中国人に限ったことではないが、つくづく人は懲りない生き物である。日本の不動産バブルの時も不動産バブルの崩壊を疑う人はごく少数であった。1987年当時のエコノミストのコラムなんかを読んでも、楽観的なことが書かれていて笑えるくらいである。
そして中国人は、「不動産が高ければ高いほど地方政府がリースする土地は高く売れる。そして富裕層=支配層である中国は富裕層の投資先が不動産くらいしかなく、いわば不動産が高くて困るのは地方から出てきた貧乏人だけである。したがって現在の不動産バブルはいわば官製。官製である以上崩壊する心配はない」
そこで富裕層になれない準富裕層はギリギリまでレバレッジをかけて(すなわち借金をして)不動産を買い漁る。含み益が出ている時は誰もがハッピー、それが逆に回転し出すと…
1週間ほど前、上海の不動産ブローカーに聞いた話だが上海のある不動産デベロッパーは現在100億人民元のキャッシュを得ようと奔走している。新規株式での調達は市場が低迷しているためほとんど難しく、銀行からの借入も限界、残った手段が社債なのだが年利10%では買い手がつかず、年利20%にしてようやく買い手がつく状態だという。
デベロッパーはようやく現在の在庫を10%引きくらいで販売しようとしているが、デベロッパーが苦しいのを見越して誰も買ってくれない。30%引きなら話に乗ってやらんこともない、とエンドからは言われるが、ブローカーレベルでは30%の値引きなぞ出来るわけもないから結局商売にならない。
売買高ボリュームも2008年ピークの3分の1くらいになり、この不動産業界で食っていけないブローカーが大勢出てきた。巷では、中国政府は現在の不動産価格が30%減価したらようやく政府は金融緩和策に乗り出すだろうが10%くらい減価したくらいでは満足しないだろう。なぜなら10%下がっただけでは今の中間所得層の不満は和らがないことを知っているから…
中国政府は不動産が現在のGDPを引っ張っていることを知っている。だからデベロッパーは生かさず殺さず、新規で建設に取り掛かってもらわねばならない。ギリギリ体力がもつラインは現在の価格から15%-20%減価したラインにあるのではないか、とそのブローカーは言っていた。
逆に言うと、現在の価格から15-20%不動産価格が下がったなら、買うのも悪くないということになる。少し風向きが変わったら大変。雪崩をうつように、不動産を売りに出す。今度は政府が売るのを禁止する法律を出すかもしれない。
そして中国人は、「不動産が高ければ高いほど地方政府がリースする土地は高く売れる。そして富裕層=支配層である中国は富裕層の投資先が不動産くらいしかなく、いわば不動産が高くて困るのは地方から出てきた貧乏人だけである。したがって現在の不動産バブルはいわば官製。官製である以上崩壊する心配はない」
そこで富裕層になれない準富裕層はギリギリまでレバレッジをかけて(すなわち借金をして)不動産を買い漁る。含み益が出ている時は誰もがハッピー、それが逆に回転し出すと…
1週間ほど前、上海の不動産ブローカーに聞いた話だが上海のある不動産デベロッパーは現在100億人民元のキャッシュを得ようと奔走している。新規株式での調達は市場が低迷しているためほとんど難しく、銀行からの借入も限界、残った手段が社債なのだが年利10%では買い手がつかず、年利20%にしてようやく買い手がつく状態だという。
デベロッパーはようやく現在の在庫を10%引きくらいで販売しようとしているが、デベロッパーが苦しいのを見越して誰も買ってくれない。30%引きなら話に乗ってやらんこともない、とエンドからは言われるが、ブローカーレベルでは30%の値引きなぞ出来るわけもないから結局商売にならない。
売買高ボリュームも2008年ピークの3分の1くらいになり、この不動産業界で食っていけないブローカーが大勢出てきた。巷では、中国政府は現在の不動産価格が30%減価したらようやく政府は金融緩和策に乗り出すだろうが10%くらい減価したくらいでは満足しないだろう。なぜなら10%下がっただけでは今の中間所得層の不満は和らがないことを知っているから…
中国政府は不動産が現在のGDPを引っ張っていることを知っている。だからデベロッパーは生かさず殺さず、新規で建設に取り掛かってもらわねばならない。ギリギリ体力がもつラインは現在の価格から15%-20%減価したラインにあるのではないか、とそのブローカーは言っていた。
逆に言うと、現在の価格から15-20%不動産価格が下がったなら、買うのも悪くないということになる。少し風向きが変わったら大変。雪崩をうつように、不動産を売りに出す。今度は政府が売るのを禁止する法律を出すかもしれない。
2011/10/02 23:23
地下鉄に乗ってみれば分かります。iPhoneを持ってる人だらけ。右も左もiPhone。それくらい香港人はアップルの信奉者なのに、香港には直営店が今までひとつもなかったのです。アップルの認定ショップと小売店でアップルの商品がさばかれていたことを考えると、アップルは香港人に対してなんてひどい仕打ちをするのだと声を大にして言ってもいいくらいです。
しかし、香港でおそらくもっともテナント料が高いと思われるセントラルのIFCモールの中にようやく直営店がオープンしました。そういえば、IFCモールにはiPad 2などのアップルの広告がやたらと出ていたのですがまさかショップがオープンするとは。
香港人の高校生アップルファンがオープンの11時間前から友だちと二人で並んで、オープニング記念限定Tシャツをゲットしている。この直営店の誕生を、認定ショップと小売店は「アップルブランドがより周知され、ウィン・ウィンの関係になれる。シェアの食い合いは起こらないだろう」と歓迎している。
iPhone 3はアメリカと同時、iPhone 3GSはアメリカ発売から3週間後、iPhone 4はアメリカ発売から1ヶ月後。iPhone 5は香港で早く発売されるといいな。
2011/10/01 23:48
「香港に来てまで、なぜこんなものを食べにゃならんのだっ!」
5年前、香港で働き始めてすぐのころ。会社に命じられて日本から来た中年男性お二人の観光のお供をしていた。「もう高級料理は食べ飽きた。香港の地元の人がいくローカルのものを食べたい」というリクエストを受けて、テンプルストリートのローカル海鮮レストランで中国産とおぼしき怪しいビールを2,3本空け、油・塩・コショウ・以上。な食べ物をたらふく食べた後、女人街に向かった。
女人街では「こんなものが本当に売り物になっているのか」と絶句しながら、マーケットの端から端まで歩いた。まだ夏だったのと、女人街の猥雑さと人通りの多さにあたってしまいお客様の一人が「喫茶店でも入って少し休憩しましょう」と言い出した。
もし僕が香港生活がもう少し長くて、どの店に何があるかを知っていたら良かったのだが… とにかくどこか座れるところを確保しなければ、と女人街で唯一知っている漢方茶屋「海天堂」に入った。海天堂の亀ゼリーは滋養強壮に効くことで有名。香港に来てから室内と室外の寒暖差にやられていた僕は好きで亀ゼリーを週に一度は食べていた。
海天堂にコーヒーや紅茶は置いていない。亀ゼリーだということは伏せて、人数分亀ゼリーを頼んだ。冷たい亀ゼリーが運ばれてきて、食べる。味は、霊芝などの漢方薬そのもの。それをゼリーにしたようなものなので、苦くはあるがそれほど食べにくいわけではない。
「変わったゼリーがあるんですね。清涼感があって疲れを取るにはよさそうだ」
お客様の評価も上々。亀ゼリーをほとんど食べ終わって、「実はこれ…」と種明かしをしたとき、疲れていたお客様の口から出たのが上記の言葉である。月に1,2度食べている私からすれば、香港の毒気を抜くのに亀ゼリーは生活必需品なのだが。あぁ、つくづく人の評価というのは相対的なものである…と反省しきりであった。
それ以来、頼まれない限り亀ゼリーを食べにお客様をお連れすることはない。また「亀ゼリー的な何か」(香港に出てくる食材は奥が深い)が出てくれば先に種明かしをするようにしている。
2011/09/30 23:24
最近、エコノミック・サイクル・リサーチ・インスティテュート(ECRI)の発言を注視している。この集団はエコノミストではなく、したがってエコノミストが自分たちに都合の良い条件で作り上げたモデルをこねくり回すようなことはしない。
彼らは主要な指標を合成して景気サイクルが今どの段階にあるのか、すなわちバブルなのかボトムなのか、バブルとしてあとどれくらい続きそうなバブルなのか、それとももうすぐ終わりそうなのかを教えてくれる。昨年2010年は多くのエコノミストが二番底を予想していたが、ECRIは「二番底は来ない」と言っていた。
夏前には、「夏を過ぎたら景気の収縮が始まる」と発言しており、実際にその通りになりそうである。そして今回は、
米国は、景気後退の入り口にいる。非金融サービスも縮小、工業生産も縮小、輸出も縮小… 最悪のコンビネーションだ
米国は第2四半期のGDPは年率1.3%であった。連銀も「期待していた程度ではないが、経済は回復基調にある」との認識である。もし景気後退となればまた資産買取プログラム、その財源として赤字国債発行ということでオバマ大統領が道筋をつけた財政赤字削減案とどうすり合わせがされるのか、されないのかが問題になってくる。
ECRIが景気後退を宣言したからといって市場にポジティブな投資家が大幅に考えを改めるわけでもないが、代替こういうレポートは金融機関同士で融通しあって読み回しているので、レポートの説得力があればあるほどじわじわと後から効いてくるのだろう。
+++++++++++++++++++++++++++++
ECRIのサイトには様々なレポートがアップされているが、アカウントを有料で取得しないと閲覧することができない。そこでECRIに資料請求したのだが… レポート料と主要20指数へのアクセス料、1年で500万円って… まぁ、グローバル企業であれば安いのだろうけれど。
2011/09/29 23:23

HSBCとマークイットが調査している、中国の工場の購買担当者指数(PMI)が3ヶ月連続で50を下回った。これは購買担当者の景況感を示すもので、50を上回れば景況感はポジティブに、50を下回ればネガティブに捉えていることとなる。このHSBCのPMIだけでなく、中国物流購買連合会が調査しているPMIがある。
HSBCが調査しているものは中小企業の割合が多く、中国物流購買連合会が調査しているのは国営企業が多い。国営企業は景況感に無頓着だと思うので、いつもこのPMIについてはHSBCのものを見ることにしている。そのHSBCだが、大幅に落ち込んだわけではない。9月は49.9なので、50をわずか0.1ポイント下回っただけである。
とはいっても、中国が世界経済を牽引している状況でこの3ヶ月連続50未満、というのは投資家の心理を冷え込ます。10月のHSBCのPMIが50を上回り、かつヨーロッパでも量的緩和政策が取られれば株式市場は意外と早くリバウンドするのではないか。
2011/09/28 23:13
過去3ヶ月の銅価格の推移
銅はほとんどあらゆる工業製品に使用されることから、銅の値動きは景気の先行き・株価の先行きを占う重要な先行指標だと考えられている。それゆえ銅のことをDoctor Copper「コッパー(銅)先生のゴキゲンが悪い」とか茶化して言う。
2008年の景気後退の際には、夏から冬にかけてコッパー先生はまず株式市場に先んじて大幅に下落し、その後コッパー先生がボトムを少しうろうろとしているときに、リーマン・ショックが起こり、株式市場は2009年3月まで反騰しなかった。
リーマン・ショックの混乱覚めやらぬ中、コッパー先生は2008年12月から反騰して底値の3倍以上となった。株式市場もの反騰もそれに続いている。
そしてこのところ、当時のように本当にゴキゲンが悪い。原因は中国での需要が減少していることがあげられる。モノが製造されていないということは、明らかに景気減速のサインだ。
コッパー先生のゴキゲンがうるわしくない中、やはりなかなか株式市場ではリスクが取りにくい状況となっている。
2011/09/27 23:59

まずはギリシャ国債を保有している銀行からの債務免除。体力ある銀行はそれを甘受する。それと同時にECBによる資本増強。国家のデフォルトとは、すなわち債務期限に債務を返済できないことを言う。だとすれば、中国のヤミ金でも年利30%なのでそれ以上の現在の金利、70%なんてとてもじゃないけど返せない。
現在の政治下でのリストラクチャリングがどうポジティブに進んでも、すでに許容限度を超えている。大きすぎて潰せない、大きすぎて債務を返済できない状態であるのですでにギリシャがデフォルトするのは既定路線のような感もある。
ドイツのメルケルとフランスのサルコジのいわゆるメルコジ・タッグもデフォルトさせないための努力でなはくデフォルトさせた後のインパクトをどう抑えるかを考えているのではないか。
ギリシャがデフォルトするのは仕方ないという空気が漂っている中、有効でない策をだらだらと小出しにするのではなくいっそ「潰します。しかし潰すためにこれだけの準備があります」と言ってくれさえすれば、市場の下落勢いは反転するかもしれない。
2011/09/26 23:17

上場している中国の銀行の資本増強の方法。株式によるものと社債によるもの。直近は社債によるものが増えている
すでにグローバル経済の失速が伝えられているところではあるが、AMGがなかなか買いのタイミングに入れないのは「トドメが刺されていない」からである。要するにもう少し悪材料が出るはずだとAMGでは考えている訳である。
(ただし、多くの問合せを頂戴している「今売るべきでしょうか」という質問に対してはこう答えたい。『あと5年待てるなら、直近の騰落は我慢すべき』と。この騰落あるマーケットで売買のタイミングをはかるのは至難の業であるし、そもそも投資に対するアプローチとして正しくない)
ただ、AMGは私が5月頃からこのブログでも書いていたようにリスク・オフに入ってしまっている。リスク性のないもので運用してもリターンはしれてるので、それをより積極的に投資運用に回さないといけないのである。
AMGは香港ベースの運用アドバイザリー会社なので、良くも悪くも中国バイアスが強くかかっているとたまに思うことがある。しかし、AMGが現在考えている「次の本当の震源は、中国。銀行と不動産」という考えには私も強く同意している。
不動産デベロッパーの倒産は、中小では多くなっている(と思う。中小デベロッパーに限ったデータがないので)。在庫を大量に抱えていたせいで完成物件の投げ売りが始まっているからだ。
中国人の商売の仕方に「ジリ貧」はない。中国人は極端にジリ貧に弱いので、悪くなりそうだったら一目散に会社をたたむ。だから悪くなるのも非常に早い。
そして銀行。不良債権がうず高く積まれている。中国は無限の力があると思っている日本人は多いが、2008年に実施した4兆元の景気刺激策をもう一発打ち上げられるほど中国には余力がない。
おそらく、銀行の一つくらいは倒産させるだろう。そうなったら、投資家の中国に対する過剰な期待が裏切られて、悪いスパイラルに入る。
ただ、1970年代の株式市場冬の時代にように高利回りの米国債がばんばん売られている訳でもないのでダブついたマネーはまた必ず株式市場に戻ってくる。その前後でバーゲンハントしたい。


