香港金融譚

主に世界の金融や経済情報についてのブログです。
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2011/10/25 11:35


今回、ブリュッセルでユーロ17カ国の首脳が集まり、熱い議論が繰り広げられ、サルコジとメルケルが国内の反対世論を抑えこむという指導力の高さをみせつけ、ギリシャへの徳政令が出そうな雰囲気である。銀行やファンドなどに貸し込んで入る借金の50%債務が削減されれば、ギリシャはある程度楽になろう。

しかしファンドはともかく銀行にとっては大ダメージ。そのダメージから信用不安を起こさぬようカネを流し込まねばならない。その資金の出所はフランスとドイツの2国だけでは抱えきれない(抱えきるとなると、また信用危機となる)。

ではキャッシュリッチな中国にお願いしよう… という話に今なっているという。中国にとっては、ユーロの消費が国内の輸出産業にカネを落としている側面もありユーロの消費が落ち込むようでは現在の成長は支えきれない。中国にとってユーロの債務問題は対岸の火事ではない。

それにしたたかな中国のこと、今回のFESEに参加することでユーロ各国への政治的な口出しと、人権や領土問題など中国にとって触れられたくない問題を少なくともユーロ圏の政治の俎上には乗せないようにもできる。

ただ中国が申し訳程度に参加したところでユーロ圏の信用不安は収まらないだろうが… 来年の春くらいまでに、2,3カ国破綻しておそらく収拾の目処がついてくるのではないか。
2011/10/24 23:11
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中国外交部のスポークスマンは

米ドルに対する人民元の急激な上昇は問題外である。中国の輸出産業の成長を阻害するからだ

と明確に述べた。「問題外」と言わざるをえないほど中国の体力が削られていることを示している。もちろん、人民元を米ドルに対してあと10%増価するということは、中国の為替管理の現在のあり方から考えてあり得ないことになる。

先日、米国の上院が中国制裁法を可決したときには一日の最大幅としては最大を記録。とはいっても中国が勝手に記録させただけであるのだが。そのようにしてせいいっぱい米国に気を遣ったのに中国に対するプレッシャーは収まることがない。

中国側からするとメンツを潰された格好になる。またGDPの鈍化を考えてもこれ以上人民元を容認するわけにはいかない。2005年以来、ドルに対して30%増価したことで「不均衡は是正された」というのが中国の姿勢だ。

今後しばらくは、少なくとも1年くらいは人民元の増価は考えられない。

で次に出てくる疑問としては「人民元高を享受するための中国株・中国不動産を買う」というアイデアはどうか… ということだが、NOである。人民元の増価どころか減価も視野にいれつつ、中国国内のリスク資産についてはしばらく様子見。
2011/10/23 23:29
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「小椋くんの会社が、日経新聞に出てる」

と一通のメール。

僕の会社が… いや何かの勘違いですね。と思って添付を開くと、そこには見慣れた文字が。

鉄腕アトム中国へ 手塚プロ、現地企業と漫画誌来年1月に発売


現在、私は香港で3社会社を保有しております。会社を保有、というのは私が保有する株式が51%を超えるものを言います。会社を保有しているかどうかとその会社が儲かっているかどうかは全く別問題なので、会社を複数保有していたとしても何の自慢にもならないのは当然ですが。

一口に「会社を保有している」とはいっても、このハーベスライフのように僕一人で株主であり平社員であり社長であり清掃員でもあり要するに仕事と名のつくものなら何でもする立場のものと、今回日経新聞に掲載された会社のように大きな判断だけ報告を受けたり相談したりし、判断から派生する実務は現場に一任している「単なる株主」の二つの場合があります。

主に日本のコンテンツ・メディアを扱う北京の会社「フォレストライン」の親会社「フォレストラインユニオン・ホールディングス(FLU)」の60%の株式を保有したのが2009年のこと。これまで株主として様々なアドバイス(文句)を繰り返してきました。

中国には、日本の出版許可や印刷許可を取得できる日系の会社がフォレストライン以外にありません。日本のコンテンツは現地の出版会社がギャランティを払って買い取り販売しています。

そして出版会社はすべて政府系なので、そのコンテンツが中国で販売できるかどうかの裁量ポイントは中国の出版社サイドにあり日本のコンテンツホルダーにはありません。フォレストラインはそこに風穴を開けようと奮闘しているわけですね。

FLUは未だ零細企業。ただお仕事を頂戴している先は大企業。さっそく今回の報道について各方面からFLUに問い合わせがあり対応に追われている状況です。
2011/10/22 23:58

ヴィクトリア・ハーバーは混みすぎ。ハーバー内の「事故寸前事故」はけっこうあるらしいく、「フェリーの本数を減らせ」というのはほぼ常に、極端なものだと「ヴィクトリア・ハーバーを埋め立てろ」という運動もある。



九龍半島の先端からセントラルまでおよそ7分。乗ったと思ったらあっという間に到着してしまうが、ヴィクトリア・ハーバーから眺める香港島と九龍半島のビル群を眺めていると、いつも同じ感覚になる。

よーし、仕事がんばるぞー

という感覚である。この感覚というのはフェリーに乗らなければ味わえないのである。セントラルや九龍のビル群はあまりに圧倒的過ぎて、To-Doリストは頭の中にあっても一歩引いて自分を見ることができない。

屹立するビル群。大きなビジネス。そこにいる人、人、人。フェリーから香港を眺めていると普「段その人達を十把一からげで『人ごみ』なんて呼んでいるけれど、よくよく考えると僕も『ごみ』の一つなんだよなぁ」という覚めた感覚と、それゆえに早く何かを成し遂げなければいけない衝動が同時にこみあげてくるのである。

この7分という時間もちょうどいい。15分だと長過ぎるし、3分だと短すぎる。香港での生活が始まった時から現在までを思い起こすには7分くらいで良い。そして僕みたいな感覚は香港人にもあると思うが、香港人はこのヴィクトリア・ハーバーを大事にしている。


21日、香港島から出発するフェリーが出発後すぐ係留杭に激突し乗客70人以上がケガ、一部重症を負ったらしい。ケガした人には大変気の毒に思うが、フェリーの本数が少なくなり気軽にフェリーに乗れなくなるのは寂しく、どうか過激な運動はしないでください…と心の中で叫んでいる
2011/10/21 23:56
日曜日までブリュッセルで開催されているユーロ17カ国会談。独仏というユーロ優等生が主導しているが、なかなかまとまらずに会期は水曜日まで延長されそうな勢いである。

その欧州の基金は果たして1兆ドルなのか2兆ドルなのか?2兆ドルというニュースが出た時点で株価は大きく値をあげたが、実はまだ決定事項ではなく誰からも確定的な発言は得られていない。そしてまた、この1兆ドルの原資にユーロ中央銀行の拠出があるのかどうかにおいてすらも不明なので、この段階ではやはり不明な点ばかりである。

ただ一つはっきりしたことがあった。ユーロ結束への意志は、かなり固いということだ。マーストリヒト条約の歳のユーロ参加の基準であった、単年度でGDPの3%以上の過大な借金はしない、とか累積は60%未満とするとかいうルールを徹底させようとしている。

なんとなくユーロに入ったら儲かるかな~というユーロお気軽参加組の気軽さが今回の大きな問題を生んでいる。だからヨーロッパ中央銀行はギリシャの問題以降、単なる旗振り役から中央政府的な役割へ移行する。


ところで来週はユーロッパの金融機関の四半期決算が控えているユーロ17カ国首脳会議も大詰め、ヨーロッパ銀行決算… というパーフェクトストームのアイテムは揃った。大変ボラティリティの高い状況となりそうだ。
2011/10/20 23:50


ここのところ、中国の人民元に対する圧力がハンパない。中国が為替操作をしているとして(現実そうなのだが)米議会は中国政府に対して人民元の大幅切り上げを求める動きが広がっている。

米議会上院で、米国内の産業を保護するためのこの中国制裁法案は可決されたが下院では否決される見込みである。というか審議の目処すらたっていない状況である。

しかも中国はアメリカに気を遣って上院で可決される直前に1日の最大限の上昇幅を記録させた。しかしその後、法案が可決された途端再び下落させている。

人民元の切り上げについては、アメリカから見た場合に非常に分かりやすいお話である。中国元安が貿易不均衡を招いて雇用が失われ… という日本も経験した例のアレである。

ただ人民元高で一体誰が得をするのか?分からない。少なくともアメリカが得をしないことだけは確かだ。中国からの輸入品は高くなり、中国に生産拠点のあるナイキなどの製造業は打撃を受け、更に雇用が失われることも考えられる。

そして米中にも緊張関係が生まれるわけだから、いったい誰得?な法案である。とりあえず米国内の不満のガス抜き程度にしかならず、かつガス抜き効果もほとんどなくその代償は大きい。

むしろ中国は、アメリカの圧力さえなければ人民元を下げる余地を残しておきたいくらいなのではないか。国内経済の失速によりインフレ圧力も薄れてきたとなれば、あえて人民元を上昇させることはない。

日本にも「人民元は対ドルで上昇していくだけだ」という見方があるが、一貫した上昇を期待するためには次の好景気を待たねばならないだろう。
2011/10/19 23:55
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地方政府の収入(赤)と借金(緑)の推移


借金を借金で返す… ということが中国の地方政府で始まろうとしている。中国財務局は、地方政府に対して地方債の発行を認める予備的措置を発表した。今まで中国の地方政府は企業とのジョイントベンチャーなどを通じて銀行からしか借り入れることが出来なかったが、地方債の発行を認めることで資金調達の方法が一つ増えた。

地方政府自体は、最終的に中国中央政府がバックについている以上破綻するということはまず考えられない。しかし中国に対する投資を考える時、地方政府の現状は積極的な投資という考えを改めざるを得ない方向にある。

不動産やインフラなどを急速にこしらえることによって中国のGDPは保たれてきたが、それもそろそろ息切れしてきた。地方債を発行することにより地方政府の資金繰りの悪化に歯止めをかけ、地方政府主体の投資をさらに呼び込むという算段である。

どこの国でも放漫な財政計画が問題になっているが、中国も例外ではない。中国人の「ぎりぎりまで突っ走る」性質を考えると地方債もリミットぎりぎりまで発行することが考えられる。さすがに発行高については青天井ではなく限度があるだが。

中国の地方都市は、場所によっては日本でいうところの夕張市、アメリカでいうところのカリフォルニア州に近くなっているということだ。
2011/10/18 23:58
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世界の富の偏在の仕方。100万米ドル以上の流動資産を持つ人間が世界の富の39%を握る。ちなみに100万米ドル以上の流動資産を持つ人間は全人口の1%にも満たない



私たちIFAは政治家ではないので税率やその税の配分などにはほとんど関心を払ってこなかった。単に過去の市場データをぶった切ってただ考えれば考えるほど、「中間層が肥え太りそうな市場が長ーい目で見て伸びていく」ということに関心を奪われざるを得ない。

仕事柄、比較的富裕な方に接する場合が多い。僕らを頼ってこられるということは既にそこでカネ余りな訳であって、今日明日の食事に事欠くような方との接点というのは仕事上ではない。しかし身近なところに目を向けてみると、たとえばAMGが毎年行なっている身寄りのない子どもたちへの寄付(Hon Chi Association)を通じて知る世界というのは仕事上の世界とは全く違うものである。

ウォール街を占拠せよ、は持続的な成長をグローバルにどう分かち合っていくか… という問題意識を呼び覚ましてくれた。そしてそれはどうも、アメリカの1929年から1933年までのGreat Depression(大恐慌)の後に続く40年間のGreat Prosperity(大繁栄)を参考にしたら良いということが書かれてあった。

アメリカのかつての豊かさは、1年で何百億円も稼ぐスーパーリッチを作り出せることにあるのではなく、身体障害者や親のいない子どもが不自由を感じることなく生きていけることにあったと思う。

しかし今では所得上位層が演出する消費広告によって中間層の消費欲がドライブされ、とりつかれたように消費に走って所得上位層を更にリッチにし、所得上位層は余剰資金を投資に回すので株式市場が盛況となると同時にボラティリティが大きく上がり、中間層が「タメ」がないためにいったん不況に陥ると悲惨な生活となりなかなか抜け出せない… という構図だ。

もちろん、僕らIFAはこのボラティリティにどう乗っていくのかを見極めるのが仕事である。ただそのIFAの感覚よりも、その国に中間層が太る仕組みがありさえすれば株式市場が今後伸びる可能性という点ではより固いものになる。格差はジニ係数で表示されるのだが、格差自体よりも格差を是正していく各国政府の力を、今後ポートフォリオに加味できればと思う。
2011/10/17 23:37


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中国のGDPは今年、第1四半期9.7%、第2四半期9.5%と推移し先日発表された第三四半期では9.1%と下落を続けている。この下落について、いろいろな見方が飛び交っているのだが、AMGとしては中国はハードランディング(急激な失速)とはならずにソフトランディング(景気循環の一局面としての失速)となりそうだと判断している。

グローバル経済もユーロから弱体化していることから、中国かここらで金融財政政策を緩めてくれるのではないかと期待する向きもある。政府がようやく「中小企業がバタバタ倒産していくのを見ている状態」を指を咥えて見ている状態から銀行の借入等にまで踏み込んで信用を緩和させようと努力している。

しかし、銀行が貸してくれる…となっても世界経済に需要がなく政府支出もなければ事業は好転しない。高利貸しからカネを借りまくり、いきなりジャンプしてしまう中国人社長は多い(ただ高利貸しは中国人マフィアと結託していて地の果てまで追い詰め、時には見せしめ的に血祭りにあげ死体を川に浮かべるのだが)。

逆に中国政府は今後も金融引締めの手綱を緩めないだろう、という見立てもある。インフレが6%を超える現状では手綱を緩めたら最後、政府の政策を批判する低所得者層の怒りが一気に爆発して政権を揺るがすことにもなる。

感覚的な話になるのだが、今後しばらく続くであろうと思われる

ユーロ危機遠のく(カネの出所はともかく、良い合意を得た) →
米国の金融システム危機(ブラック・スワンがまだいた) →
再びユーロ危機(イタリアとかポルトガルとかやっぱり借金膨大、返せないよね) →
再び米国の金融システム危機(ブラック・スワン、二匹目) →



みたいな、グローバルに展開するクライシスお手玉に中国が乗っかってきた時が本当にヤバそうな気がする。みんな中国に期待しすぎているから。米国内の個人投資家は2008年米国株式に投資する投資信託を3700億ドル分売却し、その倍額をエマージング・マーケット株式に費やしている。

そしてそのエマージング・マーケット関連株式には必ず中国が入っており、モーニングスターによると全体の14%程度だ。そしてマネージャによっては、より中国株式へのエクスポージャを好むものもいる。中国の管理経済が砂場のお城のような倒れ方をしないことには同意するし、もう外需依存・貿易主体の経済から脱皮しつつあることも事実。

しかしそれだけでは正当化できないような期待を、投資家は抱いているような気がする。
2011/10/16 23:26


新しいiPhoneが出るたびに、アメリカからいち早く新型iPhoneを仕入れて香港で売りさばく業者がおります。価格はアメリカでのリテール価格のおよそ2倍くらい。iPhone 4Sはワンチャイの電化製品屋でHKD10800(=JPY 106,000くらい)でアメリカでの発売日の翌々日から販売されているというから驚きです。

中国人も香港人も、というか東南アジアの人たちは携帯電話にかけるおカネがハンパありません。携帯電話が十分にコモディティ化していないフィリピンやインドネシアなどでは最新の携帯電話を手に入れるため借金までする人が少なからずいるとのこと。

香港人は新しいもの好きで消費好きでありますから、HKD10,800でもすぐに在庫切れとなるでしょう。ところでこれも毎度毎度の現象ですが、正規のiPhoneが香港で発売されると今度は日本人が押し寄せます。

香港のiPhoneはシムロックフリーですから機械さえ仕入れればドコモのSIMカードが日本で使えるようなのです(僕は試したことがありませんが、お客様からそういうことを聞きました)。

それにしても先日亡くなったスティーブ・ジョブス、自分が手がけたもので自身の死後まで世界中を熱狂させるなんてホントすごいです。カリフォルニア州が10月16日をジョブスの日としたのも納得できますね。毎年10月16日には彼の偉大さを思い出すことになりそうです。


※ 今回の目玉らしい、音声認識技術の「Siri」ですが、香港人は英語の発音が正しくないのであまり利用されないだろう、と映像では語られております。
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