Ogura Manabu

ドナルド・ツァン香港行政長官の即時解任を求めてデモする人たち


次期行政長官レースがヒートアップしてきたさなか、現行政長官のドナルド・ツァンに新しいスキャンダルが持ち上がっている。政治家のスキャンダルというと、金銭問題か女性問題のどちらか、と相場が決まっている。ドナルド・ツァンの今回のスキャンダルは金銭問題。

ある中国人の金持ち投資家から、退職後の住居を格安で借り受ける契約をした、という。深圳にあるその高層マンションの最上階が問題の物件。640平米でデュープレックス、クローゼットだけで香港人が住まう平均的なマンションの広さである80平米ほどあるらしい。

普通に不動産代理店を通じて購入すれば、このマンションは6500万人民元、およそ7億円。そして家賃は100万円である。マーケットプライスからいうと、若干安いくらい。家賃を150万円に設定していてもおかしくはないが、100万円だからといってべらぼうに安い訳でもない。大家の裁量の範囲内だ。

仮に100万円が市場価格からいって安かったとしても、ツァンがその中国人から受けた便宜とチャンがその中国人に対して図った便宜の間に明らかな相関関係が見られる訳ではない。少し家賃を安く住まわせてもらう見返りに、有益な情報を流したり、不動産の入札で有利な立場にしたり… などのギブ・アンド・テイクがない以上、政治家として少し脇が甘かったとしても退任などを言われる根拠はないのではないか。

ちなみにその中国人とドナルド・ツァンはツァンの妻と一緒に旅行したりしている。中国人が所有するプライベートジェットでタイのプーケットに2回、同じくその中国人のヨットでマカオに2回。中国人はおそらく素晴らしいワインや食事で饗応したことだろう。

プライベートジェットのほうは、ツァンは妻と二人分190万円をその中国人に支払っている。これもまた、機体にもよるだろうが安いと言われれば安い。利益相反を避けるためにツァンは何度も「これは市場価格ですね」と念押ししたが、中国人は「市場価格です」と答えるのみだったそうだ。

行政のトップなので、そりゃビジネスマンとうまいメシを食いうまい酒を飲み風光明媚なところにも一緒に行くこともあるだろう。それを全て個人的な蓄財とマネーロンダリングに執心した台湾の陳水扁と一緒にされたらたまったものではない。

香港人は、香港社会を包み込む矛盾に対する怒りの矛先がないのかもしれない。だからこそこういったスキャンダルで憂さ晴らししてるのかな。あるいは僕が市民としての自覚に欠けるだけなのか。

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