Ogura Manabu
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AIJ投資顧問の事件。2010年末時点で運用総額は1830億円。しかし、2009年に格付投資情報センターより「不自然な安定成績」を指摘されている。しかしその前年の2008年に、同センターが主催する企業年金の運用マネージャーアンケートでAIJ投資顧問がトップにランクされていた。その理由は

荒れた金融マーケットでも好成績を残せたから

ということらしい。2009年から2011年までの3年間、毎年5-10%のリターンを出したと投資家にレターを送り、実はそれがウソでした… と分かってしまったのが今回の事件である。日本の運用のあり方は仕組みが不透明なことが露呈し、これから立法による解決がなされるだろう。

ちょっと不思議だったのが、AIJ投資顧問に運用を委託した企業年金管理者の投資スタンスだ。チップメーカーのアドバンテストは自社の企業年金のうち8%をAIJ投資顧問に運用させていたらしいが、このAIJ投資顧問が行なっていたとされるデリバティブの仕組みを果たしてどれくらい理解していたのだろうか。おそらくほとんど理解せずにAIJ側の営業の説明を鵜呑みにしていたと考えられる。

それに、8%という数字は企業年金を預かる委託者としては大きすぎる数字のような気がする。資金も潤沢で十分に運用先を分散できる立場でありながら、セオリーの1運用マネージャにつき資産の5%未満(5%未満にすると万が一その運用マネージャの運用成績が悪くともポートフォリオ全体に大きな毀損を与えない)を配分する、という運用スタンスはなかったのだろうか。

巨額の企業年金を預かる立場の人でも、しかも営業の片手間に企業年金の運用…という訳ではなく企業年金のポートフォリオを一日中考えられる立場にいる人でも、いわゆる投資のプロではない、ということが図らずも露呈されてしまった。

ところで、このAIJ投資顧問はケイマン諸島や香港で資金を運用していたらしい。詳しい調査結果を待たねば分からないが、おそらくケイマン諸島や香港の金融機関がこの資産ふっ飛ばしに加担したということはないと思う。報道されている仕組みであれば、AIJ投資顧問が利用していた証券会社にウソをつかせるだけでこのスキームは成立してしまうからだ。この件でケイマン諸島や香港が一方的に悪者扱いされないように祈るばかり・

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