Ogura Manabu
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1985年、2002年、2005年、2010年からのドルの下落具合。



アメリカでインフレは起こらなかった。私は2年前米国内でのインフレを予想していたが、その予想は間違っていたことになる。これだけ国際資本が自由に動く中で、地理的な制約を解かれたマネーは国内に滞留してはくれなかった。香港という国際資本の交差点に居ながら、この予想の外し方は恥ずかしい限りだ。

アメリカの自国通貨ドルに対する政策は、ここ数年の通貨安競争からまた「強いドル」政策に戻すようだ。財務省のガイトナー、連銀のバーナンキは大量に米ドルをバラばいといて「強いドルは国益に資する」としれっと最近言うようになった。

弱いドルがアメリカの輸出企業を後押ししてゆっくりではあるが雇用が生み出されいてる。しかし、雇用の回復度合いが弱いので、「弱いドル」ではなく「強いドル」政策を推し進め、外貨を米国内に呼び寄せる作戦。

クリントン時代のルービン財務長官も一貫して「強いドルは国益に資する」と主張し外貨を呼び寄せ、ITバブル、それに続く住宅バブルを創りだした。アメリカはもう既にモノづくりで新たな需要を喚起するのではなく、金融空間を利用した、すなわちステロイド使用の経済にすっかり慣れてしまっている。

そういう意味で日本の製造業はドル80円前後で非常なそして非情な経営スリム化によって通貨安戦争には参加していない。日本企業は常に世界を覆う金融空間に翻弄されているが安易に金融空間のステロイド注射を打たずにモノづくりに専念しているあたり、大正生まれの頑固な祖父を思い出す。

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