Ogura Manabu
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運用額37億ドル。ファンドの創始者であるパキスタン生まれのラジ・ラジャナットナムは世界の金持ちベスト559番。2年がかりの米国金融庁の捜査を経て、ついに逮捕された。

ITとヘルスケアの会社社長に太い人脈を持つラジは、それを利用してインサイダー情報を得、株式を不当なタイミングで売買をしたという。しかしそのインサイダー情報の仕入れ方というのはまだ解明されていないが、投資先の会社の内部機密を知り得て取引をしたことには間違いはない。

投資家は誰でも一番先に情報を欲しがるものだが、あまり情報を先に欲しがってしまうとグレーエリアに突入する。証券会社で働いたことがある人は分かるだろうが、この辺りはとても曖昧で、当局からインサイダーだと判断されないためにバカバカしい社内規定があったりする。

ある意味こんなありふれたインサイダー取引を当局が2年も粘り強く追いかけて逮捕したというのは驚きである。マドフの件では単なるネズミ講であり投資をしていなかった事実があったが、このガリオンのラジは実際に投資を行っていた。

もともと米国に投資金が流入するのは米国の投資環境の透明性があったからだった。今回のラジのケースはマドフの件よりも悪質さにおいては全然マシで、「人より早く知りたい」というラジというマネージャの気持ちが先走りすぎた結果。

この事件後、投資家からは13億ドルの解約要請があった。しかしプライム・ブローカーであるバークレーとバンク・オブ・アメリカはポジションの決済をさせないようである。ガリオン・ショックというほどのインパクトは市場にはなく、むしろ米国の投資環境の透明性を高めた部分では今後米国市場がより大きな資金を得ていくきっかけになるかもしれない。

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