Ogura Manabu

日本人アドバイザーにとって絶対避けて通れないもの。円ドル為替。

業界にしばらくいると、いくつかの都市伝説的な話を聞くことがある。その中でも何回か聞いたものの中に、

アジア一のお金持ち、リー・カーセンはモルガン・スタンレー証券のプライベートバンク部門にカネを預けている。2007年、担当のバンカーはリー・カーセンのポートフォリオのベンチマーク20%に対して6%の成績しか上げられなかった。

てっきりバンカーは怒られるものかと思っていたら、リー・カーセンに「6%も増やしてくれてありがとう」と言われた。2008年、ポートフォリオのベンチマークがマイナス20%だったときに担当のバンカーは彼の優れた采配でリー・カーセンのポートフォリオの資産減をマイナス6%に抑えた。

てっきりバンカーは褒められるものかと思っていたら、リー・カーセンに「6%も減らすなんてどういうことだ!」と怒られたという…


この話は私のようは私のような日本人アドバイザーにとって、厳しいテーマを再認識させられる。

売買のディールがうまくいっただけでは、お客様が喜ぶわけではない。リターンが重要ではないお客様もいる。特に、日本人のお客様の場合は「円の購買力をどう守るか」をテーマにしている方もいる。

オフショア投資は、このテーマにめっぽう弱い。私自身、なんと答えていいか分からない。日本の輸入国の統計でも見て、上位5国くらいの通貨を輸入ボリュームに応じて定期にでも保有しておけばいいのではないですか、くらいが精一杯のアドバイスだ。

このテーマは言い方を変えると「円の購買力を維持するための各国通貨のベスト・アロケーションはどういうものか」ということにもなるだろうが、この円の購買力を守るという点についてはオフショア投資はとても無力である。

なぜなら、オフショア投資は投資先のほとんどが米ドル建であるからだ。米ドルの価値の下落を心配する方もおられるが、投資の世界ではやはり米ドル中心でモノゴトが動いており、米ドルだからこそ多様な投資先を選択できるというメリットもある。

オフショア投資をする場合は、購買力維持ではなく円ドル為替のリスクを取った上、ドル建での良好なリターンを狙うというのが基本に据えられるべきだ。

リー・カーセンは香港ドルの購買力維持が目的である。しかし香港では米ドルとペッグしているため、購買力の維持は円から出発する日本のお客様よりアドバイザーにとってずいぶん楽な作業だ。

そういう意味では日本のお客様のポートフォリオの管理は、リー・カーセンのポートフォリオの管理よりも難しい。

コメントを投稿するにはログインしてください