香港金融譚

主に世界の金融や経済情報についてのブログです。
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2010/09/03 10:15
こういうニュースを地味に拾っていって、大事にするIFAになりたいなぁといつも思う。景気の循環が何からスタートするかというと、「小売」である。モノが売れないことには経済は始まらない。失業率がギャーギャー言われるが、失業率は明らかに株式市場に対して遅行指数だ。

すなわち、「労働市場、最悪ですね」と言ってる時にはすでに株式市場は暴落しきって損失のほとんどが発生した後なのだ。「労働市場、最高ですね」と言ってるときに暴落の芽がひらく。

そして、雇用があって小売があるのではなく、小売があって雇用がある。小売が雇用を作り出すのであって、雇用されたから小売が拡大するわけではない。雇用されて小売がのびることに因果関係はあるが、前者ほどその因果は強くない。

小売は消費の中でも大きな割合を占めるファクターです。従って、小売が伸びれば、目の前が少し明るくなります。しかし、日々ニュースの洪水の中で「小売が伸びていた」ということを忘れがちでありますが。

数字はニュースより大事なのですが、ニュースはあることないこと様々書いて印象に残りやすいのです。数字は色がまだ着色されてない段階ですので、誰かの主観的判断が入る余地がありません。しかし数字を読み込むことをサボってニュースばかり読んでると、ついニュースにおぼれて「結局、何をしていいか分からない」ということになるのですね。

欧州でも、数字を見てきます。
2010/09/02 23:16
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香港にもバーガーキングの店がチラホラ出来て、バーガーキング儲かっているんだなーと思っていましたが、実際のところはそうでもなかったようですね。マクドナルドが最大のライバルなのですが、不況に強いファーストフードなのにこのリセッションで大きく売上を落としました。

マクドナルドとバーガーキングの違いはMBAスクールでもよく取り上げられる素材です。彼らのメニュー構成の違い、プライシングの違い、コアなファンを獲得するなどのマーケティングの違い。

マクドナルドはメニューは高級サラダやおやつ感覚のラップなど豊富なメニューを取り揃えていたのに対し、バーガーキングのメニューはクラシカルなもの。ハンバーガー以外にはありません。

(もう少し言わせていただくと、ハンバーガーも看板メニューのワッパーはとても美味しいのだけれど、たまにスペシャルメニューで出てくるハンバーガーはあまりおしいくないのです)

マクドナルドは滅多なことでは安売り大バーゲンをしませんが、バーガーキングは日本の吉野家よろしく安売りをし需要を先食いしてしまい、元の値段に戻すとすっかり閑古鳥… を繰り返したのであります。

また、私自身がワッパーのファンで1ヶ月に1度は必ずバーガーキングに行くのですが、ヘルシー志向の妻を連れていけません。そのようなニーズには全然対応してないからです。

ですのでバーガーキングは自然、若い男性ばかりになり、店に行くとムサ苦しいのであります。3Gキャピタルというファンドがバーガーキングを40億ドルで年内中に買収する予定だそう。入ってきてどういうふうに変わるのでしょうか。ワッパーの味付けだけは変わらずにいて欲しいのですが。
2010/09/01 22:54
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ポスト・リーマン直後よりも数が多いというのをどう考えればよいのか。FDIC、連邦預金保険機構は今週火曜日、7800行あるアメリカの銀行のうち829行が「財務的に問題があるリスト」にいれている。

これは過去最大の数字であり、アメリカの銀行のうち10行に1行に問題がある計算である。アメリカにはいわゆるメガ・バンクの他に地元密着型の銀行、コミュニティ・バンクが多数あり、それらがまた多数倒産していく。

投資で稼げなくなったアメリカの銀行は、本来業務に戻ろうとして貸出を増やす傾向にある。しかし、その貸出先を十分に吟味していないがために、景気の谷がまた来れば債権回収ができずにバタバタと倒れていく。

金融機関がたくさんあることで、競争が生まれてアメリカの金融機関は育ってきた感がある。また日本の財務省のような役所が銀行の統廃合をあからさまに指示することもないので銀行ビジネスへのハードルは日本よりずっと低い。

金銀行が減れば減るほど、アメリカの金融国としての魅力はどんどん薄れていくような気がする…
2010/08/31 19:12
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頼りにならなさそうで、頼りになるのが実質GDPの変化と個人給与所得。頼りになりそうなのだが、実は全然頼りにならない二大指標は失業率と株価収益率(P/Eレシオ)。このうち、株価収益率は理屈は分かるものの、将来を見通すのに何の役にも立たない。

株価収益率とは株価を一株当たり当期純利益で割ったものであり、次の式で求められる。
株価収益率 = 株価 ÷ 一株当たり当期純利益
株主の側から見れば、「利益が全て配当に回された場合に何年で元本を回収できるか」という指標として見ることができる。一方企業の側から見れば、「株主からの出資をどれくらいの利回りで運用しているか」という指標の逆数と見ることができる。

(Wikipedia)

株式市場はいずれどこかの方向に収斂され、平均に落ち着くという説を信じるのであれば、この指標は大きく役に立つのであるが、実際の株式市場は平均に落ち着くどころか平均から乖離し、しかも平均に落ち着きそうなときには既に損失が発生している。

アメリカの場合株価収益率は15倍から20倍が「妥当」とされているが、グラフを見てみると株価収益率が15倍から20倍だった時期なんて1881年か現在まででら20年間もない。

妥当でない期間のほうが圧倒的に長いので、現在の株価収益率高から「株価は比較的高いので、今後落ちる」ということは言いづらいのだ。しかも現在の超低金利政策では企業はカネを借りて自社株を買い戻す動機もある。比較的高いかどうかはデータからでは全然分からない。
2010/08/30 23:43
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所得と消費、どちらが先かという問題がある。卵が先か鶏が先かということだが、常識に照らせば所得がないと消費できないわけであるから、所得は増減は株式市場の先行指標となるはずだ。

アメリカ国家経済統計局のデータを見ていると、名目個人所得の昨年度変化率の増減はある程度株式市場を予想している。絶対値としての増減ではなく変化率の上下である。上昇がぐーっと続けば、その後クラッシュの可能性が高い。下降が連続すればその後ブルマーケットとなる。

もちろん、この指標だけで今後株式が市場が、あるいはビジネスがどのような動きをするのかは分からない。しか今後、個人所得の増減から「気をつけるべき時期」「積極果敢に攻めるべき時」との認識は持ちうる。

特にこういうボラティリティの高い相場では不安になりがちでニュースやレポートを大量に読み込んで安心しようとしてしまう。しかしこの数字が語るところによると、反転は早い。戦後60年間で前年比マイナスとなったのは1度だけである。(1949年、マイナス1.32%)

1932年のように不景気になってもホッタラカシにされることもなく、今後さらに財政緩和策が取られていく。2011に向けて大きくリターンが得られるとは思わないものの、あまり心配もしていない。
2010/08/29 23:47


24日、フィリピンでバスジャックが起き、8人の中国人・香港人がバスジャック犯に殺され、バスジャック犯も結局SWAT部隊に射殺されるという凄惨な事件となった。

バスジャック犯は元警察官で、収賄などの罪状で数カ月前に懲戒免職、職場復帰を求めての暴挙であった。

人質となった乗客はジャックから救出まで11時間バス内に閉じ込められた。バスジャック犯をなだめるために犯人の弟を呼び出し、交渉役に当たらせたが弟が「兄さんは悪くない」と主張したことから、犯人が見ている前でフィリピン警察は弟を逮捕した。それに逆上して犯人は乗客を次々と射殺した。

犯人を逆上させたのもフィリピン警察の手落ちであるが、それ以前にバスジャックからの乗客救出にフィリピン警察はやたらと手間取り、アキノ大統領が事件後「警察を鍛え直す」と異例の声明を発表している。

「フィリピンに渡航する際には十分に注意しましょう」

事件解決からすぐに、香港外務省から渡航情報が出されたが。「十分に注意」したところでバスジャックに会うときは会うのだ。どうやって注意しろっていうのだ。

香港からフィリピンまで、飛行機でおよそ2時間。香港人にとってのフィリピンは東京に住んでる人にとっての軽井沢みたいなもんである。セブ島なんかでダイビングを楽しみ香港人もけっこういるのだが。

ほとぼりがさめるまで、香港からのフィリピンへの渡航客は減るだろうな…
2010/08/28 02:53


AMGファイナンシャルグループのボス、アーノルド・ヤンはオフィスに住んでいるのかと思うくらい、いつでもオフィスに居る。朝7時に居る。夜11時に居る。土日でも居る。

「仕事が趣味だからね」

とサラリと言うが、週の労働時間は110時間くらいだということだ。僕がAMGというIFAファームに入ったのは2007年11月。まだ駆け出しであったので僕も朝早くから夜遅くまで働き、一週間のうち彼と食べる食事の回数が妻と食べる食事の回数より多いこともしばしばであった。

こんな働き者のボスのおかげで、ここ2年でAMGは大きく変わった。オフィスは1年前と比べて3倍以上の広さになり、アドバイザーの数も100人を超えた。僕がAMGにアドバイザーとしてメンバーに加わった時はアドバイザーの数は40人程度で全員の顔と名前が一致したが、今は顔と名前が一致しなくなっている。

急激に大きくなった理由はIFAファームのM&Aである。小さなIFAファームがリーマンショックで耐えられなくなり身売りするのだ。アドバイザーとその顧客基盤をすべて引き継ぐので一度のM&Aで一気にアドバイザーの数と顧客が増える。小さなIFAファームを買収し、一度に大きくなった。

また、ミレニアム証券という証券会社を買収し現株の取り扱いも可能となった。そして不動産部門の設立、中国人の投資移民サービス部門の設立。アドバイザー事業という中核からどんどん大きくなっている。

近頃、AMGのオフィスにメディアの人がよく出入りするようになった。正確には把握していないものの、TVや新聞、雑誌には弊社のアドバイザーがよくコメント記事を出している。

香港でもAMGウェルス・マネジメントという会社の名前が知られるようになり、この「香港価値ある会社賞」を2年連続で受賞したりと破竹の勢いを続けている。

ただ、2年前はまだ一介の新入りアドバイザーであった私とも何度も食事をしたのが、今では「会議中」「電話中」「接待中」のどれかであり声すらかけられない。雲の上の人になりつつある彼との距離が開いていくのが少し寂しい。
2010/08/27 20:50
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王様になれないキングメーカー… 小沢一郎のことをWSJはこのように記述していた。

Now, in the twilight of his career, the 68-year-old lawmaker has his best chance ever to become prime minister. Yet his surprise bid for the post could mean more turmoil, paralysis, and public disaffection for the dysfunctional system he has spent years pledging to fix, further undermining the government's ability to address a deepening economic mess.

意訳「今、68歳の彼の晩年の政治キャリアの中で、首相になれるベスト・チャンスをつかんだ。しかしこの驚くべき彼の賭けは政治にさらなる混沌と、停滞と、政界再編と、システムの機能不全をもたらす。こういったことを改善させると始まった政権の、ただでさえ弱体化している政治的基盤がますます弱くなり経済的にも混乱を引き起こす」

まぁ、政治家たるもの叩けばホコリの一つや二つは出てこよう。しかしこの人はあまりにもホコリが多すぎる。ホコリがそれだけ多いということは、野党にホコリの原因について厳しく追求されたら、それだけで政治的に空白ができる。

ましてや、検察審査会にかけられているような人がリーダーになるかもなんて、この国はいったい… と世界の笑いものである。唯一描けるポジティブなシナリオは、彼のその特性である強権を活かして追加金融政策を次々と断行、為替にも介入、一時的に株高が演出されることである。

どういう政治力学が働いたのかわからないが、鳩山元首相が「菅首相には友愛が足りない」(??)ということで小沢一郎をプッシュしたようだ。これで小沢一郎が首相になったらこの3年で6人目の首相だ。

自国利益を守るには友愛なんて要らない。友愛があるとすれば、友愛のフリをした戦略だ。国際政治は血を見ない戦争で、法律ギリギリのラインで自国利益を最大化しようと各国しのぎを削っているではないか…

ホントどうなるんだろう、この国は。
2010/08/26 23:44


「ヘリコプター・ベン」

の名の通り、上空から紙幣をばらまくことで景気浮揚をするのがベン・バーナンキ流である。政策金利を0-0.25%に据え置いた上、1兆4000億ドル分の不動産担保資産を買取、3000億ドル分の米国債を中央銀行が買い取っても、なおアメリカの景気がよろしくない。

失業率は改善せず、物価はやや上昇(なのでデフレは今のところ心配しなくても良い)、かつての日本のようにデフレ傾向はまだ見られないものの、家計と企業がカネを使い始めるのを早期に期待するのは難しいようである。

ヘリコプター・ベンは、いつでも紙幣を印刷しバラまける心の準備はしているだろう(そんなことは公表していないが)。バーナンキの関心は、いつバラまくのかということだけにあるわけではない。連銀の膨大な資産ポートフォリオ、不動産担保証券や米国債をどのように運用していくかにも心を砕いているようである。

日本では到底考えられないことだが、中国のソブリン・ファンドがかなりの運用額をヘッジファンドに回している。ニコラス・タレブが書いた「ブラック・スワン」という本があるが、彼の投資手法は資産の90%を超安全な資産、たとえば米国債の短期のもので運用し、残りを相場が大きく傾いたときに大きな利益を得られるオプション取引にかける、というものだ。

実際にそういうファンドもチラホラ聞かれるようになり、トレンド・フォロー型とかディストレス型とかいうヘッジファンドの分類に当てはまらないので「ブラック・スワン型」と呼ばれる。中国はそういうヘッジファンドに投資をするようになり、「モーゲージ証券から派生する利益を、米国債に再投資するべきか、ヘッジファンドなどで運用するべきか」で議題となっている。

アドバイザーからすると、一方でバラまきながら市場のボラティリティを高めておいて、それで収益を得るなんて本当にズルいと思うのですよ。私たちはボラティリティに対してオプションなどデリバティブでカバーできる手段をほとんど持たない。唯一対抗できることといえば、そういった市場に積立投資をするか、注意深くレンジを見極めてトレードするかのどちらかで。だから連銀は「黙って米国債買い」すべき。
2010/08/25 20:46

過去3ヶ月の円ドル推移


円高で何が問題かというと、国内の資産が国外に流出してしまうことにあると思うのです。我が国のように輸出依存型国家の場合、円高で家計部門は直接的にはそのコストを支払わないので、企業部門が円高の負担を被ります。

企業部門は円高のコストを国内の留保金取崩しとコストカットで対応しますから、一時的には企業部門が負担してもそのツケというのは必ず家計部門にまわってきます。

一方買っている方はというと、値上げしない限りかつての価格と一緒なわけです。そして所得がインフレ率を上回っていれば実質的に安く買えてしまうのです。

為替によって国家間の資産の付け替えが行われているわけですが、輸出企業がキチンと値上げをしない限り日本がやせ細るまで資産移動が続くのです。

「値上げなんかしたら国際競争力が云々かんぬん」と言われるでしょうが、値上げした途端買ってもらえない商品であればそれはおそらく中国あたりで生産されているモノでしょうから、技術力の飛躍をみるにつけ早晩需要がなくなります。

香港や中国を観察すればよく分かるのですが、彼らの日本のプロダクツに対する信頼は絶大です。値上げは大変な判断ですが、ここで値上げして需要が減少するプロダクトと値上げしても需要がまだまだあるプロダクトを選別していかないと、コストカットと政府介入を叫んでいるだけでは問題が先送りされるだけです。

仮に1ドル70円で利益が出るビジネスモデルを組んだとして、生き残れる企業が日本の価値の多くを代弁するのだと思います。生き残った技術やプロダクトにさらに資金と人を投入していくことで、日本の技術とクリエイティブが最大限発揮されると思うのです。

円高株安となると、すぐに介入を政府に頼ってしまってそれが出来なければ「無能な政府」とバカにするのはいかがなものか。為替介入は国民の権利ではありません。国民には必要最低限の生活が保証されているだけです。逆に言えば、政府はそこまでしかしなくてもOKなのです。

円高が怖ければ、「円ドル相場によって値上げします」と契約書に書いてもいいし、海外に飛び出してもいいし、自社のもつ先端技術をより磨いて新たな販路を見出してもいいわけです。アイデアはいくつも浮かんでくるでしょう。

資産の付け替えをせずとも、値上げや他の方策によって日本企業は十分に生き残っていけます。政府に頼らなくとも、自分で決めて行動できることってあると思うのです(自分がコントロールできないことを待っていても精神衛生上よろしくありません)。
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